2015 Fiscal Year Research-status Report
日本文学作品とその映像化に関する文化的考察―川端康成の作品を手がかりに
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26370173
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
福田 淳子 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (70218923)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 映像研究の現在 / 映像分析 / 文芸映画 / 川端康成 / 文化研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究実施計画に基づき、26年度の継続調査として、国内・国外において映像化された日本文学作品(近現代)の原作者および原作小説について、特に川端康成を中心に調査・分析等を行った。新たな調査の拡大は行わず、26年度に実施したパリでのアンケート調査の集計、作品の精読や映像分析、国会図書館等での文献閲覧を行った。 関連の学会や研究会には積極的に出席し、研修や情報収集を行った。平成27年度日本映像学会第41回大会(5月30日、31日、京都造形大学)に出席、文芸映画に限らず多岐のジャンルに亘る様々な角度からの研究に触れ、映像研究の現在について学んだ。青山学院大学総合文化政策学部「映像翻訳ラボ」(宮澤淳一研究室)公開研究会(6月13日、青山学院アスタジオ 地下多目的ホール、馬場広信氏「タルコフスキーの映画『サクリファイス』新訳字幕とナラティヴ理論」)に参加した。また、現代日本〈映画-文学〉相関研究会によるパネル発表「日本映画と日本近代文学とのコラボレーション―戦後から七〇年代まで―」(2015年度日本近代文学会秋季大会、10月25日金沢大学角間キャンパス)、「公開シンポジウム 《交響する》現代日本における映画と文学」(12月5日キャンパス・イノベーションセンター(東京工業大学田町キャンパス))等に出席し、文芸映画に関する研究状況の把握に努めた。 本研究のテーマと間接的に関わる研究として、一種の娯楽文化とも言える囲碁に注目し、戦時下における川端とメディアとの関係を考察した論文「「本因坊名人引退碁観戦記」から小説『名人』へ―川端康成と戦時下における新聞のメディア戦略―」(「学苑 人間社会学部紀要」No.904、pp.52-67、2016・2、昭和女子大学)を執筆した。映画とは別の角度から文化的事象にアプローチし、川端と社会との関係を探ろうとしたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度にパリで実施したアンケートの分析をもとに論文を執筆する計画であったが、集計に手間取り、分析を終えることができなかった。 一種の娯楽文化とも言える囲碁に注目し、戦時下における川端とメディアとの関係を考察した論文「「本因坊名人引退碁観戦記」から小説『名人』へ―川端康成と戦時下における新聞のメディア戦略―」(「学苑 人間社会学部紀要」No.904、pp.52-67、2016・2、昭和女子大学)を執筆し、時間を費やした。映画とは別の角度から文化的事象にアプローチし、川端と社会との関係を探ろうとした点で、本研究のテーマと間接的に関わる。しかし、間接的な関わりというということから、やや消極的な評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度のパリでのアンケート調査結果の分析を終了させ、考察をまとめる必要がある。また、映画製作側からのアプローチとして、映画監督へのインタビュー調査も実現したいと考えている。 平成26年度・27年度の調査・研究を受けて、川端康成原作による文芸映画を中心とした映像作品の分析・考察を進め、最終段階として映像作品の文化的考察として論考をまとめる。なお、日本で2度、海外でも3度の映画化がある川端康成の小説「眠れる美女」が平成21年にベルギーでオペラ化され、本作品が東京文化会館開館55周年・日本ベルギー友好150周年記念として、平成28年12月東京文化会館で日本初上演される。文学の枠を超えた他芸術への影響関係、また日本文学の海外への影響関係を探る貴重な機会であり、これらの考察も含めた上で最終年度の成果としてまとめていきたい。
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Causes of Carryover |
学会出張や文献購入などで本テーマに関係する支出はあったが、学会活動として他の研究テーマともかかわる内容があったため、科研費からの支出とはせずに次年度への繰り越しとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
文献購入費等に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)