2016 Fiscal Year Annual Research Report
Model of extended expressions by electronic engineering in artistic music
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26370175
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Research Institution | Toho Gakuen School of Music |
Principal Investigator |
金子 仁美 桐朋学園大学, 音楽学部, 教授 (00408949)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミクスト作品 / 作曲 / 情報処理 / イルカム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究最終年となった平成28年度は、3年間の研究をまとめるために以下のことを行った。 ピアノとコンピュータによる作品の研究制作について、ピアノの音を拡張する方法、空間配置について検証実験を行った。5部で構成されているこの作品の第1部から第3部については、平成26、27年度に進めていたため、詳細を再確認して完成度を上げた。第4部と第5部については、アイディアを具体化する方法を見出すのに多くの時間を費やした。本研究テーマは、表現を拡張するモデルの研究であるため、コンピュータによる音生成の素材をピアノに限定し、表現拡張モデルをよりクリアに出すことを試みた。空間を使うことでピアノ音表現の幅を如何に拡張させられるかを研究課題とし、打鍵後は音が減衰するのみというピアノの特性を念頭に、8つのスピーカーを空間配置することで、残響からリズムやうねりを生み出す実験を行った。また、表現拡張モデルを見出すために、パリ国立高等音楽院教授で作曲家のルイス・ナオン氏の助言を仰いだ。技術面では、パリ第8大学のアラン・ボナルディ教授の協力を得たことで、充実した内容の研究制作を実施できた。 他方、桐朋学園大学に招聘した3名の作曲家、イヴァン・フェデーレ氏(イタリア)、パリ国立高等音楽院院長ブルーノ・マントヴァーニ氏(フランス)、同音楽院作曲科教授ステファノ・ジェルヴァゾーニ氏(イタリア)とは、伝統的な芸術表現と現代における芸術表現について議論を重ね、コンピュータ使用がもたらす表現拡張モデルの可能性と危険性を確認、共有した。これらの議論は、空間や残響を素材とした本研究の発想に繋がり、作品制作での具体化という成果を得た。また内外の演奏家との共同作業により、現代奏法による表現拡張の可能性を探り、器楽作品制作を通して実験を行った。 本研究の成果発表として、平成29年秋にパリで研究発表と演奏会を実施予定である。
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Remarks |
[1]委嘱作品初演:金子仁美『味覚・嗅覚~2本のギターのための』全音楽譜出版社主催演奏会,2016.12.9 東京文化会館小ホール [2]公開放送:金子仁美『味覚・嗅覚』NHKFM,2017.3.26 [3]台湾初演:金子仁美『音の彫刻~for marinba』Contemporary Percussion Festival, Kaouhsiung Culture Center,2016.6.30
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