2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370179
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平林 宣和 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40271358)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 梅蘭芳 / 大正期 / 京劇 / 支那劇 / 木下杢太郎 / 谷崎潤一郎 / 日中文化交流 / 帝国劇場 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、梅蘭芳来日公演以前の時期における日中間の人と情報の往来に関して、資料の収集および研究を行い、その成果を日本および中国で報告している。具体的には、木下杢太郎や谷崎潤一郎といった大正期に中国と接触のあった知識人を介して、それまでの日本人の京劇に対するイメージがどのように変わったのか、またそのプロセスに梅蘭芳がどのように関わり、それが1919年の来日公演につながっていったか、といった諸点に関して、初歩的な分析と報告とを行った。 これらの研究報告については、以下の機会に実施している。1:「梅蘭芳と日本の95年-梅蘭芳初訪日公演(1919)から現在まで-」、梅蘭芳生誕120周年記念講演会、2014年10月11日、一橋講堂(東京)。2:「大正時期日人対於京劇的認識状况-以1919年梅蘭芳在帝国劇場演出劇目為例」、梅蘭芳表演体系国際学術研討会、2014年10月22-23日、中国芸術研究院(北京)。3:「梅蘭芳與大正時期的日本-京劇第二伝統和大正時期日本的 “支那劇”形象-」、武漢大学哲学院、2015年3月18日(武漢)。 2014年は梅蘭芳生誕120周年に当たり、上記のように中国と日本で関連の行事が行われ、筆者も日中双方においてその開催に関与した。東京での行事の際には梅蘭芳の子息である梅葆玖氏および関係者が来日した。また北京でのシンポジウムは、中国芸術研究院とその下部組織である梅蘭芳記念館が主催しており、生誕120周年という偶然の機会に以後協力を要請する人物や組織との接触ができたのは、研究遂行の上では大変有益であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように、1919年の梅蘭芳来日公演に先行する時期の日中双方の人の往来や、双方の持つイメージや実際の京劇そのものの変遷については一定レベルの資料収集および分析ができたと考える。また2015年度以降に取り組む予定であった中国の関連組織との接触が、生誕120周年関連の行事によって先行して実現した点では、当初の予定以上の進展があった。一方でこうした関連行事によって、2014年度内に実施する予定であった国内所蔵資料の網羅的調査は十分に進められてはいない。これらを相殺する形で、「おおむね順調に進展している」との評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度においては、当初予定していた国内所蔵資料の網羅的調査を一段落させ、国外の研究組織との連携を推進していきたい。2015年5月には北京で、11月には杭州で、また2016年3月にはアメリカで開催されるシンポジウムに参加を予定しており、これらの機会を活用して国外の資料を調査しつつ、外国人研究者との共同作業を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究実施状況において報告したように、2014年度は本計画が研究の対象とする梅蘭芳の生誕120周年にあたり、その関連行事参加のために多くの時間と労力を費やした。結果、資料調査のための実務に十分な時間と労力を当てられず、そのため旅費および謝礼の支出が計画より低い数字となってしまっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は、前年度実施できなかった一部資料調査およびデータベース化を行い、計画通りに余剰分の旅費を消化する予定である。
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Research Products
(4 results)