2014 Fiscal Year Research-status Report
日本の現代音楽形成におけるH.カウエルとの相互受容
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26370183
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
大竹 紀子 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (50513149)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヘンリー・カウエル / 自筆譜調査 / 図書館所蔵資料調査 / 文献調査 / 音源調査 / 楽譜調査 / インタビュー / 論文執筆 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度にはカウエル関連の資料閲覧・収集のため2回の渡米調査を行った。1回目(平成26年9月)のニューヨーク公立図書館での調査では203Boxという膨大な量のカウエル・コレクションの中から、来日した際の資料(多様な個人的資料およびロックフェラー財団へのレポートを含む)や自筆譜(尺八のための「Universal Flute」を含む)等を入手。カウエル研究家であるジュリアード音楽院教授のJ.サックス氏へインタビューも実施。2回目(平成27年2~3月)のワシントン米議会図書館では、カウエル自筆譜を調査。中でも菅野衣川の委嘱による最初期の作品「Creation Dawn(27曲)」の楽譜を入手できたことは非常に大きな成果であった。カウエルの楽譜には出版されていないものも多く、初のトーンクラスター作品「Adventures in Harmony」や初の内部奏法作品「The Sword of Oblivion」などの貴重な自筆譜を確認できたことは本研究にとって大きなステップとなった。 国内では日本から入手可能な文献、楽譜、音源資料を調査、検証。特に「Ongaku」の音源、「箏コンチェルト第2番」の楽譜は重要であった。菅野衣川に関する論文も入手。 研究の成果としては相模女子大学紀要に論文「ヘンリー・カウエルの箏コンチェルト第2番創出の経緯」を発表。箏奏者唯是震一氏へのインタビュー調査を活かすことができた。ニューヨーク公立図書館で入手した資料から最新と思われる情報も提供した。さらに今後の実施計画に対して、College Music Society International Conference(平成27年6月シュトックホルム/ヘルシンキ)の発表審査を通過。平成28年度に行う実技発表(東京オペラシティ・リサイタルホールでの演奏会)の準備も始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2回の渡米による資料調査は順調に進んだ。特にワシントン米議会図書館における自筆譜調査では必要な資料は全て入手できた。しかし、ニューヨーク公立図書館における調査では時間的制約と資料数の多さから、かなりの量を取りこぼした。再度の調査が必要である。日本における資料収集は順調に進んだ。論文執筆および今後の発表の準備も計画通り行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
カウエル研究家サックス氏へのインタビューにより、イエール大学、コロンビア大学、ニュースクール等において当初計画していた調査は必要ないことが判明したため、今後はニューヨークおよびサンフランシスコでの調査に焦点を置きたい。平成27年度はニューヨーク公立図書館での再調査、サンフランシスコでのカウエルの出生地およびスタンフォード大学での調査、シュトックホルム/ヘルシンキで行われるCollege Music Society International Conferenceでの発表のため、計3回の海外渡航を予定している。平成28年度には実技発表(演奏会)、国内外の学会での発表を計画している。特に演奏会は「カウエルが出会った日本」と題して邦楽器も含めたカウエルの“日本的作品”を紹介する、現代/伝統両方の日本音楽にとって有意義な実技発表の場としたい。
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Causes of Carryover |
主に、2回目の渡米調査が2月から3月にかけて行われたため、年度内の算出に間に合わなかった理由による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に予定している3回の渡航調査と合わせて上記を算出する。
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