2015 Fiscal Year Research-status Report
日本の現代音楽形成におけるH.カウエルとの相互受容
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26370183
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
大竹 紀子 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (50513149)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヘンリー・カウエル / 図書館所蔵資料調査 / 実地調査 / 学会発表 / カウエルと日本 / 日系人アーティスト |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度にはカウエル関連の資料閲覧・収集・調査のため2回の渡米調査を行った。1回目(平成27年9月)のニューヨーク公立図書館での調査では、昨年度に引き続き203Boxという膨大な量なカウエル・コレクションの中から「日本との関係」に焦点を絞り、書簡類、写真類などを調査することができた。今回はカウエル・コレクションの著作権を管理しているThe David & Sylvia Teitelbaum Fundに事前に承諾を得ることにより、研究のための撮影をスムーズに行うことができた。2回目(平成28年3月)のサンフランシスコ訪問では、スタンフォード大学図書館での資料調査およびサンフランシスコとメンロパークでの実地調査を行うことができた。カウエルが生まれ育ったサンフランシスコ周辺の土地風土そのものを感じ取ることも主眼に置いており、生家があったメンロパークおよび幼少期にアジア人移民と交流を持った市内の地域を実地調査できたことは、本研究者にとって非常に意義深かった。さらに当時の日系人居留区の地理/歴史的な変容の概要をカウエルの成育時に合わせて把握することができた。 研究の成果としては平成27年6月にスウェーデン/フィンランドで開催されたCollege Music Society International Conferenceにおいて「Japanese Elements in Henry Cowell's Tone-Cluster Works」と題した口頭・実技発表(発表審査有り)を行った。平成28年7月に英国にて開催されるInternational Society for Music Educationの発表審査を通過、さらには平成28年11月の東京オペラシティ・リサイタルホールにおける実技発表(演奏会)の準備も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2回の渡米による資料調査、実地調査は順調に進んだ。ニューヨーク公立図書館のカウエル・コレクションの全てを網羅できたわけではないが(特に音源資料は末調査)「日本との関係」に関する資料はおおむね調査できた。サンフランシスコにおける実地調査はカウエルの成育地を実際に目の当たりにすることができ、今後の研究に向けて大いなる刺激となった。国際学会における発表では昨年度の調査で入手した「Creation Dawn」の楽譜をもとに発表することができ、参加者からもカウエルの新しい側面を発見できたと好評であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本助成事業の最終年度では基本的にこれまでの調査の成果を発表することにより、準備を通した考察、発表に基づいたフィードバックを得て、さらなる研究への発展課題としたい。学会発表としては平成28年6月の日本音楽表現学会、7月のInternational Society for Music Educationにおける発表を予定している。集大成として11月20日に東京オペラシティ・リサイタルホールにおいてカウエルの「日本的」作品を演奏し、演奏実践を通した考察を深めたい。
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Causes of Carryover |
主に、2回目の渡米調査が3月に行われたため、年度内の算出に間に合わなかった理由による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に予定している1回の海外渡航(国際学会発表)、文献・資料購入、実技発表(演奏会)に合わせて上記を算出する。
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