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2015 Fiscal Year Research-status Report

ナチ映画を巡る現代ドイツ・ナショナリズムのメディア論的研究:2010年代の新展開

Research Project

Project/Area Number 26370192
Research InstitutionHiroshima Shudo University

Principal Investigator

古川 裕朗  広島修道大学, 商学部, 教授 (20389050)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2018-03-31
Keywordsドイツ映画 / ナショナル・アイデンティティ / 白バラ / ゾフィ・ショル / ドイツ・アイデンティティ / ヴァイツゼッカー / ナチ / ナショナリズム
Outline of Annual Research Achievements

本年度は,ナチを題材としたドイツ映画賞受賞作品に関し,映画のナショナリズム傾向が2010年代において如何に展開していったかを見定めるため,その準備段階という意義のもと,2000年代の傾向と2010年代の傾向に関し,両者の連続性と不連続性を明らかにすることを目指した。研究の主要な成果については,2本の論文と1つの冊子にまとめた。
2005年作品賞銀賞を受賞した《Sophie Scholl》に関し,ドイツ・ナショナリズムの観点からその本旨を洗い出すべく,背景となる歴史文献やマス・メディア資料と,作品本体とを照合した。特に1940年代から2010年代にかけて時代の節目ごとに公表されたドイツ大統領や首相の公的な演説講演を検証し,ドイツ・アイデンティティがどのように展開していったかを捉えた。中でもナチ抵抗グループ「白バラ」のレジスタンス運動をテーマとしたミュンヘン大学における大統領記念講義を検証した点は重要である。これについては,拙論「大統領「白バラ」追悼記念講義と戦後ドイツの国民物語」の中で論じた。またそこで確認されたドイツ・アイデンティティの展開に基づき,映画《Sophie Scholl》に示されるドイツ・アイデンティティを過去の「白バラ」2作品との比較において特徴づけた。これについては,拙論「映画《ゾフィ・ショル》における〈良きドイツ国民〉像」としてまとめた。これらの論究により,ドイツ・アイデンティティに関して80年代中頃から2000年代にかけてを一つの傾向として捉える視点が獲得され,2000年代と2010年代との連続性・不連続性を理解する上で役に立った。加えて,2000年代のドイツ映画賞作品賞を受賞した作品に関し,適宜DVDのドイツ語文字起こしと翻訳を行い,それらの内容をほぼ網羅的に把握し,その内容に関しては,一般にも公開するべく冊子を作成した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は,ナチを題材としたドイツ映画賞受賞作品について,2000年代の傾向と2010年代の傾向に関し,両者の連続性と不連続性を明らかにすることを目指した。その進展状況は概ね順調であり,その理由は次の通りである。
1)1940年代から2010年代にかけて公開された公的なドイツ・アイデンティティ理解を検証し,特に90年代から2010年代の節目ごとに行われた「白バラ」追悼講義に関してその考察結果を論文の形で公表することができたから。2)2005年受賞作《Sophie Scholl》の特徴を80年代受賞作の旧「白バラ」映画と比較しながら公的なドイツ・アイデンティティの文脈の中に位置づけ,その研究成果を論文の形で公表できたから。3)2000年代のドイツ映画賞受賞作品に関し,必要に応じてDVDのドイツ語文字起こしと翻訳を行いながら,ほぼ網羅的な形でその内容を把握し,成果を一般に公開するべく冊子を作成したから。公開手段に関して当初はホームページの利用を計画していたが,授業や公開講座での活用を鑑み,紙媒体の冊子を作成した。

Strategy for Future Research Activity

ナチを題材としたドイツ映画賞受賞作品に関し,2000年代から2010年代にかけての傾向の連続性と不連続性を明らかにする上で,これまでは2000年代のナショナリズム傾向を特徴づけることに重点を置いてきたが,次年度はこの成果を踏まえつつ2010年代の動向を見定めてゆくことに重心を移す。具体的には次のような方針で研究を進める。
1)2010年代のドイツ映画賞作品賞を受賞した作品のDVD資料を取りそろえ,ドイツ語文字起こしや翻訳作業を通じて内容を把握し,ナチ関連映画のリストアップと整理を行う。 2)2010年代の主要歴史映画作品である《Hannah Arendt》に関して,歴史文献やメディア言説等を参考に世論動向を把握し,この動向と作品本体とを照合して,ドイツ・ナショナリズムの観点から作品の本旨を洗い出す。

Causes of Carryover

当初,研究成果の公表のためにホームページの作成を予定していた。しかし,授業や公開講座での活用を考慮して,紙媒体の冊子を作成することに切り替えた。次年度額が生じたのは,その印刷が次年度にずれ込んだため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

冊子『現代ドイツ映画 2001-2009』の印刷代にあてる。現時点では,すでに冊子の作成印刷は完了している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 2 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results)

  • [Journal Article] 映画《ゾフィ・ショル》における〈良きドイツ国民〉像―旧「白バラ」映画との比較考察を通じて―2016

    • Author(s)
      古川裕朗
    • Journal Title

      広島修大論集

      Volume: 56(2) Pages: 49-71

    • Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] 大統領「白バラ」追悼記念講義と戦後ドイツの国民物語 : ヴァイツゼッカー/ラウ/ガウク2015

    • Author(s)
      古川裕朗
    • Journal Title

      広島修大論集

      Volume: 56(1) Pages: 107-121

    • Open Access

URL: 

Published: 2017-01-06  

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