2017 Fiscal Year Annual Research Report
Social Historical Research on British Silent Films
Project/Area Number |
26370196
|
Research Institution | Nagoya Future Culture College |
Principal Investigator |
吉村 いづみ (吉村いづみ) 名古屋文化短期大学, その他部局等, 教授 (60352895)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 元状 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (50433735)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | イギリス映画 / ナショナリズム / サイレント映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一次大戦はイギリスでは「偉大なる戦い」(the Great War)と言い換えられ、記憶されている。この時期、敵国ドイツのカイザー、ウィルヘルム2世を描いたライトニング・スケッチや、戦争が長引く中、国民に向けて、戦う理由や耐える理由を描いたフィクション映画が多数製作された。 (1)第一次大戦のプロパガンダ映画(ライトニング・スケッチ):1914年からのスケッチがBFIにいくつか残存している。カイザーの顔が悪魔に変化したり、ブルドッグ(英国の表象)が悪魔を倒す様子は、子供にも人気があったと思われる。1915年のJohn Bull’s Animated Sketchbook(Dudley Buxton)は、スケッチと紙を使ったアニメーションの幕開けとも言える作品で、アメリカの参戦を促したLusitania号の沈没事件を扱っている。 (2)第一次大戦期のプロパガンダ映画・物語映画:戦場の様子をカメラで捉えたドキュメンタリーも多数製作されたが、ホームフロントに向けて戦う理由や、戦争の長期化に耐える理由を描いた一般向けの映画、あるいは女性の就労を促すプロパガンダ映画なども作られた。例えば、『Women’s Munition Work』(1915年、軍需省製作)では、「工場で働くとこんなに楽しい。」というメッセージに溢れており、戦争で足りなくなった労働力を補うことに役立ったと考えられる。一般向けの映画についても徴兵逃れを扱ったコメディ映画などが製作された。 (3)公衆道徳国民協議会の報告書に関する資料:1917年に発行された公衆道徳国民協議会の報告書にまつわる資料を収集した。この報告書は、英国の検閲制度と大きく関わっている。この成果は、今年度7月発行の学会誌に「映画と社会浄化運動の接点―イギリスの映画検閲と公衆道徳国民協議会」として発行が決まっている。
|
Research Products
(4 results)