源氏学における古典〈知〉の継承と石出常軒『窺原抄』の成立をめぐる文化学的研究

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26370199
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 横溝 博 東北大学, 文学研究科, 准教授 (30303449)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 窺原抄 / 石出常軒 / 源氏物語 / 注釈 / 近世

Outline of Annual Research Achievements

本年度は計画の一年目であり、研究の基幹となるデータの収集が最大の目的である。当初の計画通り、東北大学附属図書館蔵『窺原抄』全冊のデジタル撮影を行い、これを完了した（撮影は図書館指定の業者に依頼）。本研究の基幹となる重要なデータであり、これを初めて全冊カラーで撮影できたことは大変意義深いことである（規定によりデジタルコピーを附属図書館に寄贈した）。また、国立公文書館内閣文庫所蔵の『窺原抄』のデジタル撮影も行い、国文学研究資料館蔵の写本（内閣文庫本の転写本）のコピーも入手した。これで『窺原抄』研究のための基本的な資料はすべて手元に揃えられたことになる。ただ、附属図書館の改修工事の関係で、貴重書の閲覧及び撮影期間が制限されていたことから、撮影そのものは夏になってようやく実施することが出来た。このため、『窺原抄』の研究及び翻刻については開始が当初の計画より遅れることとなったが、翻刻については、他大学の研究協力者を二名募り、進めていくことで目途をつけることができた。
本年度は基幹データの収集のための費用、研究打合せ・情報収集のための旅費、データ整理のためのアルバイトの謝金、『源氏物語』を中心とした古典注釈に関わる研究書の購入など、すべて計画通りに支出した。『窺原抄』の内容についての検討にも着手し、「桐壺」巻から始まる翻刻をすでに開始している。また、研究協力者との連繋を確保し、研究打合せを開始するなど、次年度に向けた基礎作業については、概ね計画通り着手することができた。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

附属図書館の改修工事の関係で、貴重書の閲覧及び撮影期間が制限されたことから、撮影そのものは夏になってようやく実施することが出来た。このため、『窺原抄』の研究及び翻刻については、不可抗力的に開始が当初の計画より遅れることとなった。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進については、基本的には申請通りであるが、翻刻作業そのもののペースについては、見直す余地があるように思われる（その分量と範囲に関して）。これについては、研究協力者をさらに募り、また申請書の通り、アルバイトを動員するなどして、できるだけ申請した計画通りの進捗に近づけるべく、ペースを確保していくことを心掛けていきたい。

Causes of Carryover

導入を予定していた作業用パソコンのスペックが物足りないことが分かり、新製品によって代替えできるが、その製品の導入が今年度中には間に合わないため、その分を、他の必要経費（物品費）に振り替えたところ、次年度使用額が生じることとなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度予算で作業用パソコンを導入する際に充当し使用する。