2016 Fiscal Year Research-status Report
古代日本における口承文学の地域的多様性と表記の関連についての研究
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26370210
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
遠藤 耕太郎 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (50514113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 直巳 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (20141301)
富田 美智江 流通経済大学, 法学部, 助教 (40615952)
岡部 隆志 共立女子短期大学, その他部局等, 教授 (50279733)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口承文学 / 語り芸 / 文字化 / 音仮名 / 歌掛け / 歌垣 / 少数民族 / 葬送儀礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年8月7日から14日にかけて、ナシ族民間歌謡調査、ナシ族(モソ人)の哭き歌・葬送儀礼調査、ペー族祭文調査を実施した。 ナシ族民間歌謡調査は前年度までの補遺的調査で、特に口誦でのゼンジュと、漢族の双関語とのかかわりについて、トンパ博物館研究員和虹氏との討議を行った。また、ペー族祭文調査も前年度までの補遺的調査で、祭文の歌い手楊興廷氏を訪ね、彼のライフヒストリーを中心に聞き書き調査を行った。 本年度の調査で中心となったのは、モソ人の哭き歌及び葬送儀礼調査である。本来はワラビ村で、ゴブダシブチら数人の女性に依頼して、哭き歌を歌ってもらい、記録する予定であったが、8月9日(旧暦7月7日)より実際の葬送儀礼を調査する機会に恵まれた。旧暦6月23日に亡くなった女性の葬儀である。特に、喪主を始めとし、親族の女性が母屋で哭き歌を歌い、自分ではやめられず、まさに神懸かるように哭く場面を記録した。また、ゴブダシブチの哭き歌には、「(実際に死者はいないが)影が見える」という天智挽歌を髣髴とさせる歌詞や、死者を責める口吻があるといった聞き取りができた。 また、昨年度調査した、呪的宗教者ダパによるシッツォ、ハンバを、実際の葬儀の中で確認、記録した。 死者を遠ざけるダパと死者を近づける(死者がかる)女性という性的役割分担が、かなりはっきりと確認できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、哭き歌を調査する予定でいたところ、8月9日(旧暦7月7日)から実際の葬送儀礼を調査する機会に恵まれた。これは予定外の収穫であり、昨年度のモソ人宗教者ダパの葬送儀礼調査と合わせて、哭き歌、宗教者の言語表現を葬送儀礼全体のなかに位置づけた資料を作成する必要が生まれた。このため、研究期間を一年延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、27年度、28年度のモソ人葬送儀礼調査を、特に哭き歌と宗教者の言語表現を中心に資料化し、文字化されたペー族の祭文と合わせることによって、地域と文字という視点からこれを分析することとする。
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Causes of Carryover |
本年度は、哭き歌を調査する予定でいたところ、8月9日(旧暦7月7日)から実際の葬送儀礼を調査する機会に恵まれた。これは予定外の収穫であり、昨年度のモソ人宗教者ダパの葬送儀礼調査と合わせて、哭き歌、宗教者の言語表現を葬送儀礼全体のなかに位置づけた資料を作成する必要が生まれた。このため、研究期間を一年延長することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度のモソ人宗教者ダパの葬送儀礼調査と合わせて、哭き歌、宗教者の言語表現を葬送儀礼全体のなかに位置づけた資料を作成する
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