2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Relations of Regional Varieties and Notations in Ancient Japanese Oral Litarature.
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26370210
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
遠藤 耕太郎 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (50514113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 直巳 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (20141301)
富田 美智江 流通経済大学, 法学部, 助教 (40615952)
岡部 隆志 共立女子短期大学, その他部局等, 教授 (50279733)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口承文学 / 語り芸 / 文字化 / 歌掛け / 少数民族 / 喪葬儀礼 / 挽歌 / 殯 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年8月17日から19日にかけて、雲南省麗江近郊の農村に入り、ナシ族民間歌謡調査を行なった。前年度までの補遺的調査だが、ゼンジュを使用した多くの歌詞を収集することができた。音声記号を付した資料化は12月に終了し、公開を予定している。 同年8月20日から22日にかけて、中国雲南省雲南大学で行われた国際シンポジウム「首届東亜細民俗文化与民間文学論壇」において、岡部隆志が「納西族”祭署”儀式中的自然与人的関係」(ナシ族「祭署」儀礼における自然と人の関係)、遠藤が”喩”与”音”――中国少数民族歌謡与日本古代歌謡」(「喩」と「音」――中国少数民族歌謡と日本古代歌謡)を口頭発表した。 前年度調査で、実際の喪葬儀礼で歌われた哭き歌を収集したが、今年度はその資料化、分析を行なった。「(実際にはいないが)あなたの影が見える」「あなた(死者)は悪い心をもっていて、私たちを置いて行ってしまうのか」といったいくつかの哭き歌の様式を抽出し、こうした様式は近隣の少数民族イ族にも、ペー族にも、また同じく中国の辺境地域であった古代日本の挽歌(天智天皇挽歌)にも見られることを確認した。 また、啓殯時のシャーマンによる祭文は、シャーマンの視線と哭き歌の視線を交錯させて、つまり、死者を移行させる視線と、死者を呼び戻そうとする視線を交錯させて作られていることを明らかにし、こうした状況は柿本人麻呂殯宮挽歌にも見出されることを確認した。その成果は以下の学会発表、論文にて公開した。
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