2014 Fiscal Year Research-status Report
平安時代における『万葉集』訓読本文の研究-人麿集を中心として
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26370217
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
朝比奈 英夫 京都光華女子大学, キャリア形成学部, 教授 (50248936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池原 陽斉 東洋大学, 人間科学総合科学研究所, 研究員 (70722859)
藤田 洋治 大東文化大学, 文学部, 教授 (60165397)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人麿集 / 万葉集 / 万葉集訓読本文 / 三十六人集 / 私家集 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究開始にあたって、研究方針として「1、私家集『人麿集』の校本作成」「2、他出文献との校合による『人麿集』の伝播状況の調査」の2点を設定し、3カ年の研究期間の初年度にあたる平成26年度は、上記のうち1の校本作成に向けて研究を進めることとした。およそのスケジュールは、8月下旬を目途として底本と対校本の歌番号をエクセルに打ち込み、諸本間の異同を一瞥できるようにすること、『人麿集』所収歌は大部分が万葉歌であるので、『萬葉集』との対校についても同時並行で進めていくことを確認した。また、未確認諸本の調査として、国立歴史民俗博物館蔵本については実見に及んでいないため、調査を行なうこととした。この他に、計画の遂行に資するために『人麿集』の先行研究に関する目録を作成し、情報を共有している。それらの論文本文も9割程度は取得済みであり、必要に応じて研究史を把握できる環境を整えている。以上の準備に基づき計画に随って研究を進めた。主な活動と成果は、以下の通りである。 ①校本の作成を全体の70%程度進めた。併せて先行研究目録の増訂を行った。 ②国立歴史民俗博物館蔵「高松宮伝来禁裏本」の6本を調査し、中近世における万葉集享受に関する有益な資料を2点発見した。 ③茨城県立歴史館が所蔵する以下の7点の資料を調査し、『国書総目録』未収資料を発見した。 ④研究論文2件を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に述べたとおり、本年度の主たる目標である校本の作成が順調に進行し全体の70%完成していること、その補助資料としての研究論文目録を逐次充実させていること、研究論文2件を公表したこと、関係資料の調査を2か所(国立歴史民俗博物館、茨城県立歴史館)について行い、本研究計画に関わる興味深い課題を有する資料を発見したこと等が成果として挙げられるので、研究計画は順調に進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に続いて、『人麿集』本文の精査・校合を行う。この作業と並行して、勅撰集、歌学書等の所載歌の調査を開始する。研究の進行状況によって、調査対象の見直し等を適宜行い、研究計画の適正な進行を図る。上記の調査結果を『人麿集』校本としてまとめるべく、その体裁と内容を検討し、完成を視野に入れて作業を進める。調査の過程で明らかになった知見は、朝比奈、池原、藤田がそれぞれ研究論文という形にまとめ公表する。
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Causes of Carryover |
調査結果の入力について、計画では短期雇用での謝金支出を見込んでいたが、その作業を研究分担者が行ったため、謝金支出が当初見込みより少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
申請額500,000円の内、旅費として210,000円を計上する。使途は、分担して進める『人麿集』校本の作業結果の検討会及び、関係資料で新規調査の必要が生じた場合の交通宿泊費である。物品費として200,000円を計上する。『人麿集』を含む私家集研究に必備の資料を購入する。これらは、必要に応じて京都光華女子大学、東洋大学、山形大学に配置する。以上の他に調査対象機関への謝礼及びデータ入力補助に50,000円を、複写費及び通信費等に40,000円を計上する。
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