2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370218
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
川崎 佐知子 立命館大学, 文学部, 准教授 (00536120)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 女流日記 / 文学 / 和歌 / 天皇の文学 / 皇女の文学 / 摂関家の文学 / 門跡の文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は「後水尾院品宮常子内親王周辺の文化的活動に関する資料報告と文学的価値」を重点研究テーマに、(1)~(3)の作業を実施した。 (1)実見調査と情報収集 公益財団法人陽明文庫(京都市右京区)において、『无上法院殿御日記』三十六冊の実見調査を実施し、原本の書誌情報と資料内容の確認・資料判読の精度を高めた。あわせて関連資料の収集のため、京都大学附属図書館(京都市左京区)・東京大学史料編纂所(東京都文京区)・天理大学附属天理図書館にて、『一乗院宮真敬法親王日記』『滋野井公澄日記』『近衞基凞詠草』ほかの資料調査を実施した。あわせて、最新の研究動向を探るため、平成27年度中古文学会春季大会(平成27年5月30日・31日、白百合女子大学、東京都調布市)、平成27年度中古文学会秋季大会(平成27年10月24日~25日、県立広島大学、広島市南区)、平成27年度和歌文学会大会(平成27年10月10日~11日、岡山大学、岡山市北区)などに参加した。 (2)資料内容の分析・検討 (1)の実見調査と情報収集で確認した情報を、平成26年度の成果にくわえて、後水尾院品宮常子内親王が生きた時代の天皇・公家・門跡などの文化的活動や歌壇の状況を具体的に分析した。『无上法院殿御日記』の背景にある文化的な環境を明らかにすることができた。 (3)研究成果の公表 (1)(2)の作業により得られた成果を、研究論文・川崎佐知子「陽明文庫蔵『一乗院宮御茶湯』をめぐって―修練時代の近衞家凞茶会記―」(『論究日本文学』102号、平成27年5月)にまとめた。また、成果の一部を利用し、平成27年度中古文学会秋季大会(前述)のシンポジウムにおける口頭報告・川崎佐知子「連歌師紹巴と『源氏物語』」をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題遂行のための実見調査と情報収集は、平成27年度の研究実施計画に記したとおりに実行できた。資料内容の分析・検討も、計画どおりに進行できた。研究成果の公表も、計画どおりにおこなうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、原本の実見調査と情報収集を中心軸に、実行していく所存である。一回の調査では十分な成果が得られない場合は、原本の所蔵者・関係諸機関の定める方法によって、複数回の調査(資料収集・資料判読)をおこなう。また、必要に応じて、原本の撮影・紙焼き写真などの複写物を利用する。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況は、とくに旅費の未使用が多かったことが原因と考えられる。本研究課題は、研究対象に、特別な許可が必要な原本資料を用いることが多い。調査には、学外の研究機関へ閲覧依頼をする。今年度は、研究の遂行上、京都市内の研究機関での資料調査を優先して実施したため、このような状況が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については、今年度のできるだけ早期に、東京、そのほか京都以外の遠方の学外研究機関への調査を依頼し、資料調査を実施するよう計画している。
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Research Products
(3 results)