2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370232
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
中森 康之 豊橋技術科学大学, 工学部, 准教授 (80320604)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蝶夢 / 連句 / 蕉風 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の俳文学研究では忘れ去られた存在である蝶夢は、芭蕉句集、芭蕉文集を編纂し、初の芭蕉伝記を著すなど、近世中期における芭蕉顕彰の中心であった。それと同時に蝶夢の作品も、それまでとは一線を画す、近代俳句の源流とも言える斬新さをもっていた。蝶夢を境に、俳諧は大きく変化したのである。これは俳諧だけの問題ではなく、和歌や漢詩も含め、この時代を一つの転換点と見なすことによって、「近世/近代」というこれまでの日本詩歌史とは違った、新しい日本詩歌史を構想することができるのである。 研究代表者は、2013年に田中道雄、田坂英俊とともに『蝶夢全集』(和泉書院)を編集、刊行した。その際、蝶夢の発句や文章については知り得た全てを掲載し、その史的意義について田中道雄が詳しく解説している。しかし、蝶夢同座の連句に関しては、その所在一覧を示すのみで、詳しく調査、研究ができなかった。本研究は、その蝶夢同座の連句について、可能な限り収集し、その史的意義を解明しようとするものである。 本年度は、「研究実施計画」に示した通り、研究の第1フェーズとして、①「蝶夢同座の連句目録」に掲載されている俳書の所蔵先、翻刻・影印の有無などの調査。②所蔵先が判明した資料の複写依頼、出張調査(画像データ収集も含む)。③「蝶夢同座の連句目録」未掲載の作品の捜索、を行った。 第一フェーズは本研究の基礎的準備段階であり、成果を公表する性格のものではないので、学会発表や論文にはしていないが、上記①から③を計画通りに実施し、次年度以降の第2フェーズがスムーズに実施できるだけの成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究の第1フェーズにあたり、資料の所在調査、収集を主として行った。まだ全てを収集できてはいないが、そのかわり、入手できた資料から翻刻を開始しており、これも当初の計画通りに進んでいる。 来年度の研究がスムーズに実施できる準備は整っており、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に、当初計画通りに推進する予定である。具体的には、資料整理や翻刻の下作業に関しては業務補助者を積極的に活用し、研究代表者は、資料収集(複写または電子データ)と翻刻、分析を行う。また、連携研究者との意見交換も面談、メール、Skypeなどで適宜行う。
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Research Products
(1 results)