2015 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮詠の領分――朝鮮俳句とその俳人脈をめぐる総合的研究
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26370240
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中根 隆行 愛媛大学, 法文学部, 教授 (80403799)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 朝鮮俳句 / 外地詠 / 李桃丘子 / 韓国俳句 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、昨年度までの資料調査および収集の成果を活かしつつ、1930年代後半から1940年代を中心に、内地のホトトギス系俳句とともに、朝鮮俳壇の動向を分析検討した。また、この時期に俳句創作を始めた朝鮮俳人李桃丘子に焦点をあて、朝鮮の解放/日本の敗戦後の道程についても詳細に検証した。1940年代の朝鮮俳壇は、アジア太平洋戦争の影響もあり、資料の散逸が激しいものの、残存する『水砧』や『京城日報』、内地の『ホトトギス』をもとに、彼の活動の軌跡をある程度位置づけることができた。 それとともに、1920年代における『ホトトギス』雑詠選の投句者の統計作業を別途実施しており、大正期までの動向を検証することができた。分析検討については平成28年度になるが、この点についてもさらに継続して検証する予定である。 また同時に、現代の韓国俳句にかんしても営為資料調査中である。上記に記載したとおり、朝鮮の解放/日本の敗戦後の道程として気になるのは、植民地期に形成された俳人脈がその後どのように接点をもつのかである。これについても1990年代以降の現在における韓国俳句の動向と照応させることによって検討している。 平成27年度の成果としては、2015年度輔仁大学日本語文学科国際シンポジウム×「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」台湾大会「文化翻訳/翻訳文化」(台湾:輔仁大学、2015年11月14日)にて「朝鮮俳句の戦前戦後――俳句の文芸性と文化翻訳」と題する研究発表を行っている。これについては、学術論文として平成28年度中に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
すでに上記で述べたとおり、在朝鮮刊行の俳誌資料の散逸が激しいため、朝鮮俳壇の実態調査が遅延している状況である。これについては、関連資料の発掘精査を進めることで対処している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、韓国での資料調査を入念に実施し、関連資料を含めて朝鮮俳壇の実態調査を進める計画である。また懸案となっている朝鮮俳人の傾向性については、解放後の韓国におけるその後の道程を検証することで対応するものとしたい。その上で、これまで実施してきた資料調査から朝鮮俳壇の動向を検証し、まとめることとする。
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Causes of Carryover |
物品購入その他の都合上、差引額が生じたため、次年度に繰越をした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差引額については平成28年度の物品その他の一部に充当する予定である。
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