2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370241
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川平 敏文 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (60336972)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 室鳩巣 / 駿台雑話 / 岩田彦助 / 朱子学 / 和学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、「室鳩巣『駿台雑話』―近世~戦前における「知」のスタンダード―」(『江戸文学を選び直す』所収、pp.30-43、2014年、笠間書院)を発表した。この論考のなかで、『駿台雑話』が近世のみならず、戦前までは広く読まれていたこと、本書撰述の意図が朱子学の復権にあること、その方法として、和歌・和学の知識を巧みに活用していること、などの諸点を明らかにした。 第二に、金沢市立玉川図書館および国立公文書館内閣文庫などに調査に赴き、『駿台雑話』の関連資料である『駿台閑話』『駿台随筆』『駿台要語』などの鳩巣著述の書誌調査、および写真撮影を行った。これらの資料には『駿台雑話』と共通する内容が含まれており、本書の成立過程について知見が得られるものと思われる。 第三に、『駿台雑話』のテキスト・データを完成させた。また、本研究の意義や成果を広く公開するためのホームページを作成した。『駿台雑話』テキストデータは、近日中に当ホームページにて公開する予定である。 第四に、秋元藩江戸家老の岩田彦助が書いた教訓本『従好談』の翻字を発表した。岩田は『鳩巣小説』のなかで独特の儒学論を持つ人として紹介され、一定の評価が下されている。鳩巣が生きた享保期思想界の一端が窺える資料である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に掲げていた「鳩巣書誌データベース〈和文著述編〉の構築」については、ある特定の文献について詳細に調査をする必要があったため、目標の点数(20タイトル)には満たなかったが、他は概ね計画通りに進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に則って研究を推進する。ただし「鳩巣書誌データベース〈和文著述編〉の構築」については、前年度の不足を補えるよう、調査点数目標をやや多めに設定する。
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