2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370241
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川平 敏文 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (60336972)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 室鳩巣 / 駿台雑話 / 赤穂義人録 / 駿台随筆 / 六諭衍義大意 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず『駿台雑話』の注釈的研究として、巻二「仁は心のいのち」条について考察し、論文執筆を行った。論述の主旨は、後年、本居宣長において提唱される「物の哀れ説」の生成過程を考えるにあたって、『駿台雑話』の本話が重要な示唆を与える、というものであえる。本論考はすでに脱稿しているが、学会発表などの機会も伺いたく思い、投稿は控えている状況である。 次に、室鳩巣の『赤穂義人録』について考察を行った。本書は儒学者を中心として行われた赤穂事件論評史の初発として、また赤穂義士肯定派の著述として知られているが、かならずしも全肯定しているわけではないこと、また幕府の裁定に対する違和感が筆致に隠されていること、本書は海外へ向けて発信する意図があったこと、などの諸点を論じた。すでに投稿し、井上泰至編『日本近世の歴史叙述と対外意識(仮題)』(2016年4月、勉誠出版)収載予定であるが、まだ校正刷りなどは到着していない。 さらに、『六諭衍義大意』および『駿台随筆』(前半)のテキスト・データ打ち込みを行った。これらのデータは、近々に研究代表者のホームページ(閑山子LAB.)にて公開予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
和文著述データベースの構築についてはやや停滞したが、当初は予定していなかった「赤穂義人録」についての研究考察ができたこと、あるいは和文著述のなかでも重要な文献である「駿台随筆」のデータ化に取り組めたことは、その停滞を上回る意義があったと認識している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度もっとも時間を費やした『駿台雑話』の注釈的研究について、近々に学会発表あるいは論文化を進めるとともに、次年度の計画予定どおり、『六諭衍義大意』に関する考察を進める。和文著述ベータベースについても、調査を進めていく。
|
Research Products
(1 results)