2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Muro Kyuso's Japanese writings and its dissemination and influence
Project/Area Number |
26370241
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川平 敏文 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (60336972)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 六諭衍義大意 / 徳川吉宗 / 談義本 / 兼山秘策 / 鳩巣小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず第一に、室鳩巣が徳川吉宗の命を受けて編述した和文著述『六諭衍義大意』について、その成立過程にかんする問題、および本書の外側に展開する問題について考察を行い、論文として公表した(「徳川吉宗の文教デザイン―『六諭衍義大意』研究ノート―」、『語文研究』124号、2017年)。成立過程にかんしては、鳩巣が門弟に送った書簡を中心に集めた『兼山秘策』によって、比較的詳細な事情が知られる。したがって、本書を丹念に分析することで、鳩巣の教育観や学者観などについて再考した。また、『六諭衍義大意』は徳川吉宗の文教政策を象徴する事業だったことが知られているが、それは『六諭』による庶民教化という、東アジア全体の教育動向に乗ったものであること、享保以後の教訓談義本の叢生もそうした国際情勢を踏まえて位置づけることが可能であることなどを指摘した。なお、この研究から派生的に、『兼山秘策』のテキストそのものの重要性を再認識したため、2018~21年度の新たな科研費テーマを応募し、採択が決定した。また、室鳩巣ほか3人の当代著名な儒学者の子息について、『兼山秘策』中の記事を紹介する小文を発表した(「雅俗草露:儒者の愚息」、『雅俗』17号、2018年掲載予定)。 第二に、鳩巣の和文著述データベースの充実のため、国立公文書館内閣文庫、国立国会図書館、国文学研究資料館などへの文献調査を行った。また研究情報の取得および交換のため、日本近世文学会に参加した。 第三に、アルバイトを雇用して鳩巣の和文著述『鳩巣小説』の翻刻を行い、自身の研究用ホームページにそのデータをアップし、ネット上でのテキスト検索を可能にするとともに、フリーでもダウンロードできるようにした。
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Research Products
(6 results)