2014 Fiscal Year Research-status Report
転換期における浮世草子作者と江戸・上方出版界の動向に関する研究
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26370242
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
藤原 英城 京都府立大学, 文学部, 教授 (20264749)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 西村市郎右衛門 / 西村源六 / 江戸本屋仲間 / 文運東漸 / 西村本 / 浮世草子 / 書肆 / 西村九左衛門 |
Outline of Annual Research Achievements |
京の書肆西村市郎右衛門の二代目の江戸進出と江戸出店西村源六の出版活動及びその動向と江戸本屋仲間結成との関係性を明らかにするべく、それらの関連資料の収集や出版物の伝本・諸本調査に着手し、研究の概観を学会にて発表した。具体的には以下の通り。 1、二代目市郎右衛門の出自に関する調査研究 初代西村市郎右衛門未達が没するのは元禄九年九月とされるが、同八年三月に西村九左衛門なる書肆が京都に登場する。二代目市郎右衛門に関しては、正徳から享保半頃まで登場する江戸の西村市郎右衛門が二代目となり帰京したとする説があるが(東明雅氏)、中嶋隆氏はそれが同名の新たな売捌き元である可能性を示唆し、九左衛門を二代目と推定された。管見では江戸の市郎右衛門と九左衛門は同一人物と見られ、二代目として正徳五年から享保十五年頃まで江戸に拠点を移して活動する。 2、江戸出店西村源六の開業に関する調査研究 九左衛門時代、江戸の西村半兵衛の下で修業を積んだと見られる二代目は江戸市場を重視し、正徳五年に江戸に進出、享保四年に自店の同住所に源六店を「出店」として開業させる。享保六年、二代目は『官刻六諭衍義』の御用を勤めるとともに、源六は江戸本屋仲間の結成を奉行に願い出るが、享保十二年の南組の独立に際しては中絶していた「出店」表示を復活させる。 以上の研究内容をまとめて学会で研究発表を行った。 3、「二代目西村市郎右衛門と西村源六 ―その動向と江戸戦略をめぐって―」第127回日本近世文学会秋季大会(平成26年11月23日 於日本大学文理学部)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集・調査の進展により、本研究の概観を学会で発表することができた。まだまだ研究の端緒に過ぎないが、おおむね調査は順調に推移しているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に基づき、西村市郎右衛門・源六の出版物の収集を行い、関連資料等の翻刻にも着手する。
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Causes of Carryover |
訪書予定が実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は資料所蔵機関への訪書調査を重点的に行い、関連資料の収集を継続的に実施する予定である。
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