2017 Fiscal Year Annual Research Report
A study on anthologies of Buddhist narratives in the Edo period from the viewpoint of formation, publication, and reception
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26370248
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山崎 淳 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20467517)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国文学 / 近世 / 寺院所蔵文献 / 仏教説話集 / 版本 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)研究の軸となる地蔵寺所蔵文献(版本を中心とする50箱)は、約9割の調査を終え、その成果を第1回日本宗教文献調査学合同研究集会(2017)のポスターセッションで公表した。なお、最終年度には上記50箱の外に新たに18箱の文献が見出された。本格的な調査に至っていないが、蓮体(地蔵寺開基)に直接関わる文献が散見され、今後の進展に寄与するものと期待される。 (2)覚城院(香川県)と木山寺(岡山県)でも文献調査を進めた。ともに真言寺院であり、蓮体や師の浄厳に関連する文献を見出せた。特に覚城院では、蓮体自筆本・所持本、蓮体の伝授・講義を記録した文献など、重要な資料を発掘することができた。また、地蔵寺以外でも寺院所蔵の版本調査に道筋を付けることができた。 (3)近世の仏教説話集及び出版という観点から、各地の寺院の開基にまつわる説話を集成した『伽藍開基記』を取り上げた。その成果が神戸説話研究会編『近世寺社伝資料 『和州寺社記』『伽藍開基記』』(和泉書院 2017)である。報告者は当該作品の全文翻刻(共同作業)の校閲と解題を担当し、解題では内容の紹介に加え、成立の問題にも言及した。この成果には、黄檗山萬福寺や岩瀬文庫での文献資料調査が重要な位置を占めており、その点で(1)(2)の調査と同一線上にある。 (4)「相応寺創建説話における「河陽」と『元亨釈書』」(2017)は、中世文学研究の範疇に入るが、『伽藍開基記』や蓮体『観音冥応集』などを俎上に載せ、近世における『元亨釈書』の影響の強大さについて論じたものでもある。 (5)西国三十三所巡礼関係の文献についても研究を進めた。三十三所に関する書物は、巡礼が盛行した近世に数多く刊行されている。その多様性や変遷について、浄瑠璃、御詠歌、古地図などを題材にして検討した。その成果の一つが「浄瑠璃『西国卅三番順礼記』第三段目について」(2017)である。
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Research Products
(7 results)