2014 Fiscal Year Research-status Report
文学雑誌『若草』における読者階層の形成と混交をめぐる総合的研究
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26370249
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小平 麻衣子 日本大学, 文理学部, 教授 (40292635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 輝 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (90216078)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 女性誌 / 国際情報交換 / フランス / 読者分析 / モダニズム / プロレタリア / 太宰治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、『若草』の研究基盤を整え、作家や文芸思潮を横断した具体的分析を行い、文学研究の方法論に接続することを目的としている。本年度は、『若草』の閲覧の便宜をはかったうえで、各研究者が、資料の調査・解読を行った。具体的な活動は、以下の通りである。 1、『若草』本文のPDFを作成し、本研究に携わる研究者が閲覧できる状況を整えた。 2、総目次のデータ入力を進めた。 3、研究会を以下の通り開催した。●第1回(2014年4月26日(土)、慶應義塾大学大学院校舎343d教室)/発表者:井原あや氏(亜細亜大学非常勤講師)「『若草』の作家と読者たち」●第2回(2014年7月19日(土)、日本大学文理学部会議室B)/①発表者:矢部真紀氏(東洋大学東洋学研究所客員研究員 )「1920年代における「若草」編集方針の変遷―「新しさ」と「現代」を手がかりに―」②『若草』第1巻講読(第1巻1~3号)、コメンテーター:太田知美氏(トゥールーズ・ル・ミライユ第2大学准教授)●第3回(2014年12月14日(日)、日本大学文理学部会議室B)/発表者:村山龍氏(慶應義塾大学大学院後期博士課程 )「モダニズムとプロレタリア文学の接合 ―「若草」第8巻を中心に―」/ 発表者:尾崎名津子氏(日本大学文理学部非常勤講師)「待たれる「乞食学生」」 以上から、参加する作家の分布、ジェンダー的観点からの雑誌の意義、戦後への接続などが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由としては、以下が挙げられる。資料のPDF化によって、各研究者の閲覧の便宜を供し、研究の基盤が整ったこと。将来のデータベース化を視野に入れた、総目次の入力、ページ数の確認が進捗したこと。ゲストを招いた複数回の研究会によって、『若草』の多方面にわたる特色が明らかになったこと。
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Strategy for Future Research Activity |
総目次のデータ入力は、データベース公開を目的として、引き続き行う。『若草』は、多くの作家が寄稿し、個人全集未収録の資料もあるため、データベースの公開ができれば、多くの作家研究に寄与するところがあると考える。雑誌の性格の分析についても、引き続き、読者層、ジェンダー偏差、文化表象などの観点から、各研究者が資料収集と分析を続けるとともに、外部ゲストの招聘を計画通りに行う。
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Causes of Carryover |
雑誌本文のPDF化が、予定よりも少ない時間数で完了したため、また、総目次データ入力について確認事項が多く、予定より進捗が遅れたため、人件費支出が予定より少なくなった。調査のための旅費については、各研究者の研究テーマに調査の必要が生じなかったため、次年度送りとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費については、作業者の数を確保することで、出来るだけ作業を早めに進めたい。次年度の研究会ゲストについては、地方よりの招聘なども予定しており、そのための経費、また、各研究者の出張調査費の使用を予定している。最終年度に国際会議を予定しており、その準備として、翻訳などの経費も使用する予定である。
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