2016 Fiscal Year Annual Research Report
The biography study about HIROSE, Kyokusou
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26370251
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
徳田 武 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (20139447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小財 陽平 明治大学, 法学部, 専任准教授 (00633314)
神田 正行 明治大学, 法学部, 専任准教授 (70586958)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 広瀬旭荘 / 日本近世文学 / 江戸漢詩 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、『日間瑣事備忘』を中心とする関連資料から、広瀬旭荘の伝記研究を推進した。 成果の一つとして、旭荘の書簡を整理しえたことが挙げられる。具体的には、徳田武・神田正行・小財陽平が協同して、日田市の広瀬資料館に所蔵される旭荘書簡の内、息子の林外と淡窓の養子青村に宛てた物を翻字し、年時考証を施した上で、さらに時間順に配列した。長寿吉・小野精一編『広瀬淡窓旭荘書簡集』に見られる多くの誤謬を訂正できたのもさることながら、旭荘が幼い孝之助(林外)らの子供に暖かい愛情を注いでいることを明らかにしえた。 つぎに、『観瀑布図誌』(文久三年跋)についての研究を行った。該書は、賀名張の西南にある景勝地、赤目四十八瀑についての詩文画集であるが、旭荘の五言絶句十二首が収められている。これらは『旭荘詩鈔』・『旭荘遺稿』未収録の作品群であり、旭荘研究者にも知られていない、貴重なものである。まず、こらら新出の漢詩に訳注を施した上で、旭荘詩が該書の図画および漢文とを参考にしつつも、ときに想像によって制作された様態を考察した。また、『日間瑣事備忘』をひもとくことで、旭荘がかかる作品群を制作した背景も明らかにしえた。それによると、旭荘は万延元年十一月七日に依頼を受け、多額の潤筆料と引き換えに当該十二首を制作したことがわかる。 さらには、『日間瑣事備忘』から吉田松陰に関係する記述を抜き出し、考察を加えた。その結果、詩集からはなかなかうかがいえない、旭荘の勤王・攘夷の思想が吉田松陰に好感をもって迎えられたことを明らかにした。 以上のように、『日間瑣事備忘』を中心とする関連資料を博捜することで、旭荘の伝記的研究を推進し、家庭における旭荘と職業文人としての旭荘という両面をうかがうことができた。
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Research Products
(3 results)