2016 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮総督府発行教科書・教授書・編纂趣意書に見られる「同化思想」の形成について
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26370260
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| Research Institution | Saga Women's Junior College |
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Principal Investigator |
長澤 雅春 佐賀女子短期大学, その他部局等, 教授 (00310920)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 朝鮮教育 / 植民地 / 朝鮮映画 / 言語政策 / 朝鮮総督府 / 国語政策 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
旧朝鮮総督府図書館の蔵書を引き継いだ韓国中央図書館及び釜山広域市立市民図書館に所蔵される日帝期和書の調査と複写を行ってきた。これについては「釜山広域市立市民図書館蔵 日帝期和書総目録」(『佐賀女子短期大学紀要』第51集第2号2017)として発表した。また、収集した複写資料はスキャンを行いPDF化した。韓国の全北大学で行われた東アジア日本学会では「崔洋姫氏の語る父崔載瑞と『国民文学』の記憶」を発表した。
また2017年2月24日には佐賀女子短期大学において、佐野正人氏(東北大学大学院国際文化研究科)の科研費採択課題「日韓歴史認識問題と展開」(挑戦的萌芽研究)との合同ワークショップ「メディア/大衆文化の日本・韓国」を市民開放型で行った。発表者は鄭琮樺氏(韓国映像資料院主任研究員)、李孝仁氏(前韓国映像資料院院長、現慶熙大学)、李恵真氏(世明大学)、梁仁實氏(岩手大学)、佐野正人氏、長澤である。鄭氏は基調テーマとして「失われた朝鮮映画を求めて」を朝鮮映画『迷夢』(1936)の上映と解説を行い、長澤は「1920年代朝鮮教育制度下の朝鮮映画の主人公たち」という題目でテーマ発表を行った。
長澤の発表では、朝鮮教育下における朝鮮映画の主人公が、当時として高学歴を持っていたとしても将来を悲観して堕落していくという共通した描写の背後には、朝鮮教育制度の影が落としているのではないかという研究成果を発表したものであった。このワークショップでのとくに鄭氏の発表は、朝鮮総督府が朝鮮映画を検閲と管理を行っている中で、いかにして朝鮮の独自性あるいは独立性をカモフラージュしながら商業映画化していくかという課題の中で朝鮮映画が製作されたかを分析したものであったが、これは長澤が調査する、朝鮮総督府が推進する同化政策の陥穽を表すものかもしれない。管理教育と大衆という観点は本研究においても重要であると考えている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題となる朝鮮教育一次資料は、これまでの韓国内での調査により多くを複写入手することができた。日本国内における一次資料の収集はそれほどでもないが、資料の多くが韓国内に比較的入手しやすい状態にあるため、韓国での収集を続けている。
だがこれまでの複写資料が膨大であるため、その整理作業と消えつつある複写資料の現状確保としてのPDF化作業に多くの労力が割かれている。とはいえ、必要となる資料は逐次収集しており、資料の全体像が見えてきたのは大きな成果である。また、『京城日報』(日本語)、『毎日申報』(朝鮮語)を入手できたことも本研究課題にとって大きな成果である。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究は、朝鮮における同化政策のありようを朝鮮教育、とくに教科書や編纂趣意書などを中心に分析することを主としているが、これを発行する朝鮮総督府のみならず、朝鮮語研究会などさまざまな外郭団体、『国民文学』などの文芸誌、『文教の朝鮮』といった朝鮮総督府発行媒体、『満洲及び朝鮮』などの雑誌ジャーナリズムなども俯瞰した上での調査研究が必要である。本研究の今後は、検閲を加えていく朝鮮総督府の管理下にあるこうした雑誌類を含めて考察していくものとする。
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| Causes of Carryover |
韓国から研究者を招聘しての科研費採択課題ワークショップを開催したが、その経費について正確な支出金額が明確ではなかったため、国内調査費及び国内出版研究書の購入を行わなかったことによる。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまで購入できなかった国内出版の当該研究関連図書の購入及び、スキャン後の資料を閲覧するための大型モニター「I-O DATA モニター ディスプレイ 27型 EX-LD2702DB(3万円程度)を購入する予定としている。
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