2017 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮総督府発行教科書・教授書・編纂趣意書に見られる「同化思想」の形成について
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26370260
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Research Institution | Saga Women's Junior College |
Principal Investigator |
長澤 雅春 佐賀女子短期大学, その他部局等, 教授 (00310920)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 同化政策 / 国語政策 / 朝鮮教育 / 植民地 / 朝鮮映画 / 日本語教育 / 朝鮮総督府 / 教科書編纂 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、昨年度の国際ワークショップにて口頭発表した「1920年代朝鮮教育下の朝鮮映画の主人公たち」を韓国の京畿大學で開催(6.17)された国際語文学会において、大幅に加筆修正を加えて韓国語による発表を行った。これは、韓国内研究者による詳細な部分での批判を受けるために行った。概ね評価をいただいたが、例証とする日帝期の朝鮮映画作品の発掘数がまだ少ないため、不確実性を伴うものではないか、また論旨を論証するための手法にまだ若干の甘さがあるのではないか、との指摘もあった。朝鮮総督府による同化政策が日本人にとっては併合のための手段であるものの、その併合時代の学校教育下で成長した植民地の子らが卒業・成長した後にΣ己の将来をどう見詰めていたのか、を映画の主人公から読み解くことを試みたもので、本研究では庶民からの視点の導入を図る上でも重要なテーマであった。 また、1月27日には、テーマにおいて共同研究する李恵眞明世大学教授を中心として、韓国・中国から研究者が本学に集い、日中韓の国際ワークショップを行った。「東アジアの翻訳と大韓帝国期の雑誌」(ソン・ソンジュン(釜山大学))、「朝鮮児童文化の胎動期における日本人の活動に対する研究」(金成妍(久留島武彦記念館館長))など、当該研究課題に通じる研究発表が多くなされた。このワークショップは、併合下の朝鮮における日本文化の伝達のありようをテーマとする各研究者が集ったもので、長澤がこのワークショップの開催者となったものである。 また、釜山広域市市民図書館に蔵される日帝期和書目録の調査結果を『佐賀女子短期大学紀要』(第51集第2号、第52集)にそれぞれ「釜山広域市立市民図書館像 日帝期和書総覧」(2)(3)として掲載した。 以上の当該年度の研究成果は、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同化政策を国語政策から研究を試みていて、ジャーナリズムの在野的な視点の導入も重要だと考えている。『京城日報』など資料が膨大であることと、『毎日申報』などは諺文新聞であるため、調査及び内容の整理が思ったより進めていなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
朝鮮総督府編纂教科書をめぐる趣意書等を資料とした同化政策へのアプローチはこのまま継続すし、その分析を行う。今年度が最終年度であるため、研究結果の全体像を明らかにして、同化政策への教科書からの手法、ジャーナリズムの与論内容について調査を行っていく。
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Causes of Carryover |
当該年度は国内調査を行えなかったための旅費が未使用となった。平成30年度は東京都立図書館を中心として明治期の国内資料調査と国内発行図書を購入する予定である。
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