2018 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮総督府発行教科書・教授書・編纂趣意書に見られる「同化思想」の形成について
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26370260
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Research Institution | Saga Women's Junior College |
Principal Investigator |
長澤 雅春 佐賀女子短期大学, その他部局等, 教授 (00310920)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植民地 / 朝鮮教育 / 国語政策 / 内鮮一体 / 同化政策 / 普通教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、併合下朝鮮における国語教育を通じた同化政策、そしてそれを推し進めるための各種メディアがどのようになされてきたのかを明らかにすることを目指している。これまでは複写収集してきた普通学校教科書(『国語読本』『修身書』など)の単元を内容等によって整理し、かつ国内文部省編纂版との比較を一部教科書では行ってきた。 また、メディアについては、1924年頃より製作されてきた植民地下における朝鮮映画を調査しこれについてはデータベースを作成しているが、氏名漢字表記についての修正が必要になっている。これは、現在の韓国ではほとんど漢字を用いないため、同音異語が混乱していることによる。 1940年に入って刊行された日本語による文芸誌『国民文学』の主宰者である崔戴瑞の思想を家族の肉声から知るために娘の洋姫氏(オーストラリア・シドニー在住)へのインタビューを行っているが、このビデオは残念ながらまだすべてを文字化できていない。 同化政策について、『朝鮮』『文教の朝鮮』など朝鮮総督府刊行による教育誌から窺うことができるが、他刊行誌や『京城日報』などを通じての調査も試みていることろである。 釜山広域市立市民図書館に蔵されている日帝期和書の存在が近年ではよく知られるようになったが、これは本研究において調査し公開してきた成果であると自負している。この調査による活字公開は本学研究紀要に連載してきたが、平成30年度研究紀要掲載によって完了することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成29年6月、「平成29年度私立大学研究ブランディング事業」に、本研究のこれまでの成果を基盤として日本人学生における韓国語修得のための教科書編纂、また北部九州における韓国研究の拠点化を目指すための「現代韓国文化研究センター」の設置等を目指した内容で申請したところこれが採択されることになった。 ブランディング事業費から2名の韓国語を担当する専任教員と職員を採用し、長澤がこのセンター長となって短期大学における韓国研究センターの運営と学内に向けての新規事業プログラム開発を中心となって行うことになった。さらにこの事業が文部科学省より突然の中止発表され、かつ当初申請の5年という期間が3年に短縮されたため、慌ただしく一定の成果を出すことが必要となった。そのため、本研究の遂行に支障が出ることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は最終年度であったため延長を申請し、これが受理されることとなった。今年度は朝鮮総督府編纂教科書の編纂趣意書及び『朝鮮』『文教の朝鮮』というやはり朝鮮総督府刊行の教育誌にみられる同化思想の変遷を解明していくこととし、焦点を絞ることにする。植民地期における朝鮮のメディア研究としては、すでに青弓社より朝鮮映画についての単行本として刊行しているが、人名の漢字表記に修正箇所があり、また限られた紙数であったため十分な脚注を掲載することができなかった。これらを充実させて次の刊行を目指すこととする。
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Causes of Carryover |
本研究を基盤とする研究内容によって平成29年度「私立大学研究ブランディング事業」が採択された。それによって北部九州における韓国研究及び文化交流の拠点化を図るための現代韓国研究センターを設置し、その運営と教育プログラムの開発のためセンター長と副学長を兼務することになった。そのため業務が多岐にわたり計画を予定通り遂行することが困難となった。 平成30年度は最終年度であったため、期間の延長願いを申請しこれを受理された。このことから、今年度研究費に引き継ぐことになった。
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Research Products
(2 results)