2015 Fiscal Year Research-status Report
地方における文芸コミュニティの形成と変容に関する研究―暮鳥会寄託資料を軸として
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26370261
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Research Institution | Kagoshima Prefectural College |
Principal Investigator |
竹本 寛秋 鹿児島県立短期大学, 文学科, 准教授 (20552144)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生成研究 / 調査資料翻刻 / 資料画像デジタル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究においては、群馬県立土屋文明記念文学館に所蔵されている資料の調査を行うとともに、昨年度撮影した資料の翻刻作業を進めた。以上の作業により、群馬、茨城に分散している山村暮鳥の原稿・草稿・メモの関係を整理した。本作業は本研究の目的の一つである、山村暮鳥の詩の生成の解明に必要な作業であり、その成果は「「榲めろの声」とは何か ――山村暮鳥『雲』巻末詩をめぐって――」(群馬県立土屋文明記念文学館紀要「風」、第19号、2016.3、pp.1-18)として論文化した。また、本研究の成果を生かし、講演「朔太郎・暮鳥の詩的出発をめぐって」(前橋文学館開館記念月間記念講演会,前橋文学館 2015.9.13)を行うとともに、講演録「朔太郎・暮鳥の詩的出発をめぐって」(『前橋文学館報』第43号 2016年3月 pp.48-69)を公開した。 同時に、原稿類の翻刻作業を進め、「翻刻 暮鳥会寄贈資料・山村暮鳥自筆詩草稿」(『雲』第20号 2015.9)、「新資料 山村暮鳥「小説『春』序文」(暮鳥会寄贈資料)翻刻と解説」(『鹿児島県立短期大学紀要(人文・社会科学篇)』第66号 2015年12月 pp.21-27)、「新資料 山村暮鳥『虹とさくらんぼ』序文原稿および関連資料(暮鳥会寄贈資料)・翻刻と解説」(『人文』第39号 2015年11月 pp.1-7)と、着実に作業を進めている。これら資料の重要性については、「山村暮鳥の自筆資料をめぐって ―草稿、創作ノート、説教メモ―」(『日本近代文学』第92集 2015.5)にて報告した。 さらに、群馬県の文教団体の歴史と現状について調査を行い、「記憶の記録としての『遠望』」(『遠望』第48集 2016.2)に報告を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つである、暮鳥資料の検討について、いくつかの新資料を翻刻して公開することができたことをはじめ、土屋文明記念文学館の協力のもと、山村暮鳥資料を有機的に関連づけた論考を発表することができた。本年度、研究論文1本、翻刻3本、研究ノート2本、講演1回、講演録1本を発表し、研究目的に従った研究業績をあげることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した資料が原稿・草稿・メモだけでも想定以上にのぼり、また、その検討には多くの時間がかかるため、本年度は収集した資料の解読と検討が中心となる。文芸コミュニティの検討については、地域ごとの特性が想定以上に多様であるため、検討範囲を精選し、論理構築を行う。同時に、デジタルデータ自体の整理を引き続き行う。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りに執行しており、0円に合わせる目的での執行を行わなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額のため、次年度計画に影響を与えるほどの使用残はないと考えている。
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