2017 Fiscal Year Annual Research Report
Collectiions of British Poetry Published by Subscription Which Crossed the Atlantic: Expanding Networks of Readers in the 18th and the 19th Century
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26370268
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小林 英美 茨城大学, 教育学部, 教授 (70277862)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 予約購読出版形式 / 定期刊行物 / 書評 / 大西洋往還 / 会員制有料図書館 / 文学思潮の国際的な伝播 / 独立国家形成期 / 文学受容の時差 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画最終年度は、前年度から移行した海外資料収集と文献研究、それと連動する予約購読出版形式詩集研究と、定期刊行物書評の精査・分析の研究成果を学会で発表することで、研究を総括するものである。まず予約購読出版形式詩集研究は、前年度に予定以上の調査ができたため、Charlotte SmithとThomas Chattertonを主体にして、必要に応じて追加することにし、インターネットでの事前調査の上、後述の海外調査で補完した。次に海外での定期刊行物書評研究を、オックスフォード大学ボドリアン図書館で行った。例えば19世紀アメリカの連邦派のThe Port-Folio誌等での英国詩集書評を精査した結果、同時代英国保守系の文学観を認められ、他のアメリカ定期刊行物書評と共に、前年度に明らかにした文学受容の時差解消の動きが別角度から確認できた。また並行して、同時代英国内外の会員制有料図書館蔵書目録から、定期刊行物所蔵状況と掲載書評の調査も実施した。具体的には、英国ノッティンガムのBromley HouseやアメリカのBoston Libraryである。以上から、予約購読形式出版も利用していた会員制有料読書施設という読者網中核のアンプ的環境と、定期刊行物とその書評が出会うことが、文学思潮の国際的な伝播において重要な役割を担っていたことが最終的に明らかにできた。そして本研究計画全体の成果を総括するべく、本年度末に欧米言語文化学会第136回例会(於日本大学下高井戸校舎)で、「国際化する文芸批評と読者網―予約購読出版と読書施設の役割」を発表した。本テーマは、19世紀大西洋往還の読者・出版そして文学思潮研究の観点に限定したが、その方法論は他の時代・地域の独立国家形成期の言語文化研究にも応用でき、国際的な文化交流・受容研究の発展に寄与する事例研究としての意義もあると考えられる。
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Research Products
(2 results)