2014 Fiscal Year Research-status Report
イギリス・ロマン主義のグローバルな多様性――ヨーロッパを超えた継承と変容
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26370270
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イギリス・ロマン主義 / P.B. シェリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、18世紀後半から19世紀前半の様々な「他文化」を国の内外に抱え込んだイギリス・ロマン主義の時代の文学が、他の地域の文化・文学に接触し、変容し、新しい形態を生み出す過程を、グローバリゼーションの一つの形態と捉え、文学空間の中で詩人(小説家)と後代の詩人(小説家)の関係において考察される「影響」の問題を、文学空間の外部へと開いて総合的に考察する試みである。 今年度は、イギリス・ロマン主義の時代の文学の日本文学への影響、その受容と変容のあり方とイギリス・ロマン主義における翻訳の問題を中心に進めた。6月13日から15日にかけて、筆者も開催委員を務めた、東京大学で開催されたイギリス・ロマン主義の国際学会“Romantic Connections 2014”において、Percy Bysshe Shelleyについて発表し、また、東京大学総合図書館参考調査係と共同して、Percy Bysshe Shelleyの自筆原稿と日本の明治/大正時代におけるShelley受容で重要な資料を展示し、その解説を行なう「特別展」を開催した。Shelleyのこの未出版の自筆原稿(現在、東京大学の総合図書館所蔵の貴重書部門に所蔵)の実物とこれが日本にもたらされた経緯などを、海外の研究者たちに説明できた意義は大きいと考えられる。また、この学会にアメリカのキーツ・シェリー協会会長のStuart Curran教授を招聘し、学会発表だけでなくいろいろな意見交換を行った。 今年度後半は、6月の学会での研究者との意見交換などを経て、この学会で発表された、他文化への関わりを中心とした論文を選りすぐって、"Romantic Connections"というテーマで学術雑誌のPOETICAで特集号を編纂し、筆者自身もPercy Bysshe Shelleyのイタリア時代の翻訳について、"Artistry of Connection: Shelleyan Ottava Rima in “Hymn to Marcury” and “The Witch of Atlas"」を寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6月に東京大学で開催された国際学会の企画を行い、アメリカの著名な研究者を含めて多くのの海外からの研究者と意義な研究交流を行っただけでなく、特別展を開き、東京大学が所蔵するPercy Bysshe Shelleyの未刊自筆原稿と東大がこの原稿を持つに至った経緯、明治・大正期の日本でのこの詩人の受容について海外の研究者に説明する機会を作り、かつ、Percy Bysshe Shelleyについての口頭発表を行った。また、この学会の特集号を学術雑誌に編纂し、自身も論文を1篇寄稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
イギリス・ロマン主義文学の他地域での受容の問題の研究をさらに進める。2014年6月の学会で海外の研究者との様々な意見交換、フィードバックにより、受容の問題を考察する際にオセアニアだけでなく、オセアニアとの比較対象として、アイルランドを含めることも有意義であることがわかったので、アイルランドも視野に入れながら、オセアニア地域(オーストラリアとニュージーランド)での受容と変容の問題を中心に研究を進める。
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Causes of Carryover |
研究計画に従って概ね順調に進めたが、イギリス・ロマン主義に日本での受容の研究により重点をおいたため国内での調査に時間がかかり、海外調査を次年度以降にすることにしたためと、イギリス・ロマン派の海外での受容を研究する際、オセアニアだけでなくイングランドの「外部」であるアイルランドの重要性が6月の学会の時に認識されたため、アイルランドとの比較を入れることを視野に研究計画を少し変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
19世紀の前半を中心としたイギリスロマン主義のアイルランドでの受容について、オセアニアでの受容の特徴を明らかにするための比較対象として研究することに使用する。具体的には、資料・文献の購入、時間に余裕があれば海外調査のために使用する。
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Research Products
(2 results)