2014 Fiscal Year Research-status Report
伝統と個人のオリジナリティ:文学的所有権の意識とオリジナリティの諸相
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26370274
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
園田 暁子 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (00434564)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イギリス文学 / オリジナリティ / 伝統 |
Outline of Annual Research Achievements |
今日のイギリスの著作権法は、保護対象とする作品は「オリジナル」なものと規定し、著作物が最低限満たすべき条件としている。一方、この「オリジナル」という概念は、文学者が創作に向かう意識の中でより高次の、そして野心的な意識を表しもする。本研究では、「伝統」と「オリジナリティ」という概念に着目し、17 世紀から20 世紀のイギリス、アメリカ、カナダの文学者にとって、「伝統」が何を指し、何を意味したのか、また、彼らが「伝統」に対し個人の「オリジナリティ」をどのように位置づけていたのかを明らかにすることで、創作原理において「オリジナル」さが持った意味の特質の時代における変遷と、それぞれの時代に法的に求められた「オリジナル」さとの関連を明らかにすることを目指す。初年度である本年度は、イギリスのロマン主義の時代と17 世紀を対象に「伝統」と「オリジナリティ」の概念についての研究を行った。 ロマン主義の時代については、ワーズワースを軸に当時の「オリジナリティ」という概念の特質を明らかにすることを目指し、同時代のブレイク、コールリッジらに加え、アナ・バーボールド、メアリー・ロビンソンらの女性詩人の意識についても研究を行った。本研究に必要な、当時刊行されたパンフレットや雑誌を参照するため、イギリスのブリティッシュ・ライブラリーにおいて文献調査を行った。 また、17世紀における「伝統」と「オリジナリティ」についての研究も進め、特にドライデンの『詩劇論(Of Dramatick Poesie)』の分析を行い、次年度以降の研究と結び付けていく準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究発表を一回行い、論文一編を発表し、現在2つの論文の執筆を進めながら、研究計画に基づいた研究が行えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降、本年度研究を行ったロマン主義の時代の「オリジナリティ」と「伝統」の概念と比較しながら、17世紀から18世紀の研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入を希望していた書籍が絶版となり、平成26年度中の購入ができなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該の書籍が再版されれば購入し、されなければ平成27年度に文献調査に行った際に重要な箇所の複写を入手する費用に充てる。
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Research Products
(2 results)