2014 Fiscal Year Research-status Report
18世紀における環大西洋(ポスト)コロニアル英文学
Project/Area Number |
26370275
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
久野 陽一 青山学院大学, 文学部, 教授 (40242888)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 英米文学 / アフリカ系作家 / コロニアリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画に従って、18世紀の環大西洋地域における英語文学の全体像を把握しつつ、未収集のものを中心に資料調査をおこなった。その過程で本研究に重要な示唆を与えてくれた文献として、Felicity A. Nussbaum, “Slavery, Blackness, and Islam: The Arabian Nights in the Eighteenth Century” (Brycchan Carey and Peter J. Kitson, eds., Slavery and the Cultures of Abolition: Essays Marking the Bicentennial of the British Abolition Act of 1807, Cambridge: D. S. Brewer, 2007, pp. 150-72 所収) が挙げられる。この論文は、近代性のしるしとしてしばしば結びつけられながらも、分析の対象として同時に論じられることの少ない奴隷貿易廃止運動とオリエンタリズムの問題を、ヨーロッパの帝国主義的な力のあり方として対応させて論じている。コロニアリズムと直接に結びつけて論じることのできる西インド諸島を舞台とする文学作品とオリエントを舞台とする東方物語を比較することによって、これまでの奴隷物語に関する研究に新たな視点が導入できる。実際、本年度に英国図書館でおこなった調査において、この両者が並列されたチャップブックのコレクションを発見することができた。この観点をさらに展開するための出発点として「18世紀の『アラビアン・ナイト』―もうひとつのイギリス小説勃興論」と題する発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記実績報告の概要の通り、18世紀イギリスにおける環大西洋地域における英語文学の全体像を把握するための資料調査をおこなうことができた。本年度は、そのための重要な一次資料および二次資料をある程度入手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実績をふまえ、次年度は、研究対象となる一次資料を絞り込み、分析することになる。そのための文献調査は引き続きおこなわれる。
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Causes of Carryover |
文献複写費用が年度内の文献の未入手により執行できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該文献の複写費として使用する。
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