2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370280
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 秀子 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (70179092)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フェミニズム童話 / ジェンダー / 男装 / 女性 / おとぎ話 / 宮崎アニメ |
Outline of Annual Research Achievements |
「現代英米児童文学におけるフェミニズム童話の意義」という研究課題の実施にあたり、平成26年度においては、以下のことを行った。 (1)主に1970年代から2000年代に執筆された英米のフェミニズム童話の作品の収集を行った。(2)比較対象のため、男装の女性を扱った英米および日本の児童文学作品(ヤングアダルト小説、マンガ、アニメも含む)を中心に収集を行った。(3)収集した作品を分類・分析し、特徴の抽出を行い、データベース化の準備を行い、ポイントとなる作品の抽出も開始した。(4)ジェンダー論、女性学、現代史、ジェンダー史、社会学、児童文学論などの文献の収集と分析を行い、フェミニズム童話の意義と位置づけの検討を開始した。(5)本研究の研究成果の一部を2つの学会で発表した。(「ジェンダー越境の模索ー『おかあさま』における礼子の「男装」を中心にー」(日本語ジェンダー学会第15回年次大会)、「Fanny Campbellとその「娘」たちーFanny Campbell, the Female Pirate Captain と Girl in Blue における男装のヒロインを中心にー」(日本イギリス児童文学会第44回研究大会))(6)本研究にもとづく論考が、The 22nd Biennial Congress of the International Research Society for Children's Literature(2015年イギリス・ウスター大学で開催予定)に査読を経て採択され、口頭発表を行うこととなった。 以上の研究活動により、現代英米児童文学におけるフェミニズム童話および関連の作品の概要をある程度把握することができ、今後の本研究遂行の基盤を作ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究実施計画に記載した(1)主に1970年代から2000年代に執筆された英米のフェミニズム童話の作品の収集、(2)比較対象のため、男装の女性を扱った英米および日本の児童文学作品(ヤングアダルト小説、マンガ、アニメも含む)の収集、(3)ジェンダー論、女性学・フェミニズム関連、男装・異性装関連、服装関連、現代史・ジェンダー史、社会学、児童文学関連などの文献・資料の収集、(4)収集した作品の分類・分析とデータベース化、(5)ポイントとなる作品の抽出、(6)フェミニズム童話の理論的考察、(7)論文執筆の準備、に関しては、おおむね計画通りに進んでいる。 なお、英米のフェミニズム童話作品および男装作品の収集に関しては、入手が困難な作品も少なくないため、作品の収集数が予定をやや下回っている。 フェミニズム童話の研究および比較対照のために並行して研究をすすめている日本と英米の男装作品やジェンダーにとらわれないヒロインを含む作品(マンガ・アニメを含む)に関する研究は、ほぼ計画通りに進んでいる。 平成26年度における研究成果発表としては、フェミニズム童話も視野に入れた男装作品に関する学会発表を2件行った。また、本研究の成果の一部は、2015年の国際学会に採択され、発表が決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成26年度の研究成果をもとに、フェミニズム童話の意義の解明に向けてさらに研究を続けていきたいと考える。 今後の主な研究計画は以下の通りである。 (1)引き続き、英米のフェミニズム童話の収集を行う。(2)比較検討のため、日本および英米の男装作品をはじめとするジェンダーを越境するヒロインを含む作品(マンガ、アニメを含む)を収集する。(3)入手困難な作品や文献を収集するために、国内外の研究機関などで資料収集を行う。(4)引き続き、入手した作品の分析とポイントとなる作品の抽出を行い、データベース化する。 (5)研究目的に掲げた観点から、フェミニズム童話の理論的考察を行う。 加えて男装のヒロインなどを含む作品との比較検討を行い、フェミニズム童話の意義を考察する。(6)ポイントとなるフェミニズム童話についての論考の執筆を準備する。(7)これまでに得られた研究成果を学会などで発表する。
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Causes of Carryover |
(1)平成26年度の助成金で収集を予定していた英米の作品の中には、発注後入荷までにかなりの時間がかかり、平成26年度中には入手できないものがあったため、それらを平成27年度に購入することにしたため。(2)研究教育および校務の都合により、平成26年度に予定していた資料収集のための出張を行うことができなかったため。(3)本研究の研究成果の一部が、平成27年8月にイギリスのウスター大学で開催されるThe 22nd Biennial Congress of the International Research Society for Children's Literature (IRSCL)に採択されたため、平成26年度の助成金の一部を、平成27年度のイギリスでの学会発表(学会出張中に資料収集も行う予定)のための出張経費に繰り入れることにより、平成27年度の研究計画に支障がないようにするため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)フェミニズム童話およびフェミニズム童話との比較対照を行うための作品の購入。 (2)平成27年8月にイギリスのウスター大学で開催される The 22nd Biennial Congress of the International Research Society for Children's Literature (IRSCL)における学会発表と資料収集のための出張経費への繰り入れ。
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Research Products
(3 results)