2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370293
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
松本 朗 上智大学, 文学部, 教授 (00365678)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミドルブラウ / ハイブラウ / ジェンダー / モダニズム / 知識人 / イングランド / フェミニズム / ジャーナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 27年度は、26年度より継続して (1) 書籍、(2) DVD、(3) 中流階級の主婦向けの定期刊行物 The Good Housekeeping (1920-1930年代)、(4) Winifred Holtbyが知り合いに宛てて書いた書簡、(5) 女性教員に購読された定期刊行物等The School Mistress (1920-1930年代)等の資料の収集を行い、その分析を行った。 2. 「ミドルブラウ研究会」を4回(2015年5月9日(土)、2015年8月1日(土)、2015年11月28日(土)、2016年3月27日(日))開催し、先行研究の検討と討論を行い、その上で論集の3. 日本ヴァージニア・ウルフ協会の論集に論文「ミドルブラウ文化と女性知識人ーー『グッド・ハウスキーピング』、ウルフ、ホルトビー」を投稿し、査読に通過した。この論文は、28年度に刊行される予定である。 4. 首都大学東京のジャーナルMetropolitanの招聘を受け、論文「田舎の日常性とモダニズムーーロレンスとオーウェルの〈牧師の娘小説〉」を寄稿した。ロレンスとオーウェルのテクストにおけるモダニズムとミドルブラウ性の関連について論じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
入手した資料や先行研究の分析を順調に進めることができている。それをもとに、ヴァージニア・ウルフ協会の論集(28年7月に刊行予定)にミドルブラウとウィニフレッド・ホルトビーを論じる論文を投稿し、査読を通過した。また、本研究の過程でミドルブラウとモダニズムの関係もこれまでよりも明確になりつつあるため、その成果の一部を首都大学東京のジャーナルMetropotlianに論文として寄稿した。 ミドルブラウ研究会での討論では、ブラウの戦いに関する議論を昨年度より深化させ、問題点を洗い出すことができた。それにより、28年度か29年度にミドルブラウ研究会で論集を出版する見通しを立てることができた。この論集では編集委員を担当する予定である。 家庭と校務の事情でイギリスの図書館における資料収集を行うことができなかったため、その分の資料収集(特に映画関係)は遅れているが、全体としては、日本にいながら購入できる範囲で定期刊行物の資料収集を行い、その分析を進め、業績をいくつか発表することができていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、定期刊行物や小説といった文字メディアに関する研究を中心に進めてきた。こうした文字メディアのテクストに関する研究については、対象をウィニフレッド・ホルトビーだけでなくヴェラ・ブリテンの著作へと広げるかたちで継続して行う。だが、それと並行して、28年度は、ウィニフレッド・ホルトビーの小説の映画化作品『サウス・ライディング』(1938年)に関する資料の収集と分析を進め、最終的にはミドルブラウ研究会の論集に投稿したいと考えている。映画は、ハイブラウとミドルブラウ、イギリスの文化とアメリカ合衆国の文化、ハイ・カルチャーと大衆消費文化、英文学作品と映像メディアが衝突し、交渉を行う重要なメディアであることが、これまでの資料分析で明らかになりつつある。したがって28年度はこの方向に力をいれる予定である。それにより、本研究の学際性を高めることができると考えている。
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Causes of Carryover |
書店やインターネットで購入できる資料については順調に資料収集を進めている。しかし、家庭(病人が家庭にいるため)と校務の事情により、8月と3月にイギリスに行くことが叶わなかったため、その分の支出を次年度分に残している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度には、引き続き、先行研究、DVD等の資料収集を行うかたちで物品費を使用する。また、イギリス、ロンドンのBritish Film InstituteおよびBritish Libraryで資料収集を行うことによって、旅費やコピー代を使用する予定である。ミドルブラウの国際学会で研究発表をすることも視野にいれている。
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Research Products
(3 results)