2017 Fiscal Year Annual Research Report
Middlebrow Literature and Culture in Britain
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26370293
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
松本 朗 上智大学, 文学部, 教授 (00365678)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミドルブラウ / ジェンダー / 定期刊行物 / イギリス文化 / イギリス文学 / モダニズム / 知識人 / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20 世紀前半の英国ミドルブラウ文化・文学が有した革新性と国際性を明らかにするために、(1)戦間期英国ミドルブラウ文化において鍵となる役割を果たしたWinifred Holtby とVera Brittain いう女性知識人の高踏的及び大衆的ジャーナリズムにおける著作、エッセイ、小説、及び小説の映画化作品に焦点をあて、(2)それらを国際性、階級・階層横断性、あるべき社会主義の検討という観点から分析し直すことによって、(3)英国ミドルブラウ文化・文学が、英国社会の階級・階層を再編成しただけでなく、第二次世界大戦後に成立する福祉国家的枠組みを準備したダイナミックかつ複雑な営みであったものと捉え直し、文化史的観点から学際的に論じた。 研究は、主に個人研究として行ったが、並行して「英国ミドルブラウ文化・文学研究会」を1年に3回程度開催し、文献に関する討論、メンバーの発表とそれに関する意見交換を行い、2018年度には論集『英国ミドルブラウ文化研究の挑戦』を刊行した。 個人の業績としては、2014年に日本英文学会シンポジウム「ミドルブラウという名の挑発」に講師として登壇したことにくわえて、2016年度にHoltbyの定期刊行物上の仕事に関する論文を1本、2017年度にHoltbyの小説、およびHoltbyの小説を原作とする映画テクストに関する論文を計2本、刊行した。2018年度には、Brittainのジャーナリストおよび小説家としての仕事関する論文が2本刊行される予定である。 総括すれば、本研究は、HoltbyとBrittainといった女性知識人がブラウの戦いをジャーナリズム及び小説上で繰り広げていたという事実、および、それらの著作の内容が英国社会の階層の再編成および大衆教養主義に寄与するものであり、イギリスが福祉国家へと再編成される動きに寄与していた可能性を明らかにしたと言える。
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Research Products
(5 results)