2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of the Representation of Japan in Early Modern English Literature: Texts and Contexts
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26370296
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
原田 範行 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (90265778)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 近代英文学 / 日本表象 / 好奇心(curiosity) / 言説空間 / 実録 / フィクション / 旅行記 / 地図の東西交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は本研究の最終年度にあたり、次の3点を中心に資料調査とその分析、これまでの研究成果の統合、そして研究の総括と成果の公開(およびその準備)をおこなった。第一に、サルマナザール、デフォー、スウィフトといった重要な個別作家の、特に蔵書や同時代批評に関する補充調査をおこなったことである。これにより、18世紀初頭のイギリスにおける文化史的概況の中での日本表象を、個別作家の具体的な作品創造のプロセスにおいて明確に捉えることができた。その成果は、海外学術誌への英語論文掲載(2020年度中に刊行予定)のほか、サルマナザールの『フォルモサ』邦訳(2020年度中に刊行予定)などにも結実した。第二に、上述の個別作家に関する同時代批評を含め、今年度においては概ね1730年までのイギリスにおける定期刊行物の中での日本表象に関する補充調査を実施し、その結果として、18世紀初頭のイギリスにおける日本表象の文化史的位置づけをより明確にするとともに、あわせて、東南アジア諸地域(中国、朝鮮半島、台湾、シンガポール、琉球王国、インドネシアなど)の表象と日本表象の比較考察にも及ぶことができた。その成果は、『ロビンソン・クルーソー』第2部においてこの地域を詳述したデフォーに関する英語論文としてまとめられ、やはり2020年度中に刊行予定である。第三に、スウィフトの『ガリヴァー旅行記』における日本表象の具体的なソースの一つとして、日本の奈良絵本の一部がオランダ経由でイギリスに伝わっていた可能性について本格的な調査・考察をおこなった。小人国、大人国、ラピュータ、ストラルドブラグ、馬の国など、確度の高い内容的関連性を指摘することができ、その成果の一部は、2019年11月に日本国内の新聞等でも報道された。2019年度には、こうしたこれまでの研究成果をまとめたウェッブサイトを開設し、情報公開の促進をはかった。
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Remarks |
1.「書評:New Essays on Samuel Johnson: Revaluation」『日本18世紀学会年報』第34号(2019年6月)所収。2.「ガリバーに御伽草子影響か:小人の島などに共通点」(共同通信ほか、2019年11月)。3「自己を問う、社会を定位する、世界を築く―存在の根幹を問われたイギリス2019年」『図書新聞』(2019年12月23日号)。
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Research Products
(6 results)