2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Public Sphere in English Romantic Literature: Fraternal Community and Print Culture
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26370299
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
藤巻 明 立教大学, 文学部, 教授 (30238604)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イギリス・ロマン主義文学 / 公共圏 / 印刷文化 / 友愛共同体 / 作品生成過程 / ロマン主義の別の伝統 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、イギリス・ロマン主義を代表する散文作家Charles Lambを軸として、友情で結ばれた作家同士の文学的共同体構築の夢とその挫折が、London Magazineに発表されたエッセイに色濃く投影されていることを具体的に確認するために、後に単行本The Last Essays of Elia (1833)として出版された続篇の後半に焦点を絞り、友愛共同体から印刷共同体へ参入する実例として包括的な検証を行なった。作家南條竹則氏と完訳版作成の共同作業も続け、5月上旬に最終刊『完訳・エリア随筆Ⅳ』を出版した。本研究代表者は、Courtney, Monsman, Aaronほか優れた先行研究を精読して、詳細な註釈と解説「虚実綯い交ぜの織物」を執筆し、作品生成の背後にある友愛共同体と印刷文化の重要性を明らかにした。 3月には英国図書館でロマン主義時代の各種文献を閲読し、虚実の微妙な境界線上を渡り歩いて読者を出し抜こうと意図したLambが生み出したEliaは、作者の心情の吐露として真正直に受け止めるだけでは真価を捉え難い極めて現代的なテクストであることをも突き止めた。2018年3月末までにその研究成果を4年間の集大成として、論文「チャールズ・ラム『エリア随筆』とノンフィクション―事実と虚構の狭間―」にまとめ、『ノンフィクションの英米文学』(金星堂から刊行予定)の寄稿締め切りに間に合わせた。 さらに、当時出版界で活躍しながらその後埋もれてしまった詩人たちは女性に限らず、その後主要な6人の詩人と比べて評価に大きな格差が生じた男性詩人もおり、そのうちCrabbe、Landor、Beddoesの3名が20世紀の詩人Ezra Poundによって高く評価された事実について印刷文化との関わりで考察し、「Ezra Poundとロマン主義の『別の伝統』」と題して、学会シンポジウムでパネル発表を行なった。
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Research Products
(3 results)