2014 Fiscal Year Research-status Report
ボーダレスな知的財産への道:グローバル文化・文学の共生ディスコースを探る
Project/Area Number |
26370301
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
臼井 雅美 同志社大学, 文学部, 教授 (00223537)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 英語圏文学 / 英語圏文化 / グローバリズム / 震災文学 / 宗教学 / 科学 / 政治学 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
21世紀における英語圏文学と日本文学の作品にみられる文学と文化のグローバル化に関して、次のような研究成果をあげることができた。 まず、グローバル文化の代表作品である『風立ちぬ』を日本の帝国主義とモダニズムの観点から分析した論文を台湾で口頭発表を行い、台湾の英語・英米文学と日本語・日本文学を専攻する学生・大学院生と懇談する機会を得た。また、それに続くイギリス帝国主に関して論じた論文「ウルフからの手紙:『ダロウェイ夫人』における暗号解読」を完成させた。さらに、グローバル文学作家として認識されているカズオ・イシグロの『私を離さないで』に関する英文論文をクロアチアで口頭発表し、特に東欧(チェコ共和国、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)の研究者と意見を交換することができた。この論文を加筆訂正した論文は、ザグレブ大学が中心となりヨーロッパでの出版を目指したプロジェクトに応募済みである。 日系アメリカ・カナダ人作家が3.11、禅に取り組んだ論文をマレーシアで口頭発表し、イスラム文化圏の研究者と意見交換をした。特にマレーシアの国際イスラム大学の若い教員3名とマレーシアの英語圏文学に関しての懇談会を持った。この時の論文は、同学会が中心となり、ネット出版であるProcedia-Social and Behavioral Sciences under Elsevierに掲載される予定である。さらに“Globalizing Literature from 9/11 to 3/11: A New Challenge in Asian American Literature”を中国アモイで口頭発表し、21世紀の学問のグローバル化の方向性が見いだせた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的の達成度は特に、21世紀のグローバリズムと英語圏文学に関する論文を国際学会において発表し、英語圏出身の研究者だけでなく、東ヨーロッパ、台湾、中国、イスラム圏マレーシア出身の研究者との交流や若手の研究者と大学院生との懇談を行うことはほぼ達成できた。しかし、この研究を本格的に開始した一年目であるため、国際的ジャーナルなどへの投稿はできたものの、実際に出版にはまだ至っていない点が進展が予定通りではない点である。また、海外における活動が中心となったため、日本国内におけるリサーチや一般市民を対象としたセミナーを行うことができず、まだ研究成果を十分に一般社会に発表できてはいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
2015年度はすでに、7月27日から31日かけてドイツのグッテインゲン大学において解されるInternational CISLE Conference, 9月10日から11日にかけてシンガポールで開催されるICELLL Conference, 10月8日から11日までカナダのトロントで開催されるアメリカ学会大会において論文を発表することがすでに決定しており、2014年度に引き続き、英語圏だけでなくヨーロッパとアジアにおいて研究成果を発表するとともに、各国から参加する研究者と交流を持つという目的は十分に果たすことができる。それに加え、今年度は国内外において、リサーチにも時間を十分にかけることと、日本の学生や一般市民に向けての活動の準備を行いたい。
|
Research Products
(9 results)