2015 Fiscal Year Research-status Report
ボーダレスな知的財産への道:グローバル文化・文学の共生ディスコースを探る
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26370301
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
臼井 雅美 同志社大学, 文学部, 教授 (00223537)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 英語圏文学 / 英語圏文化 / グローバリズム / 震災文学 / 科学文学 / 政治学 / 宗教学 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
21世紀における英語圏文学とその周辺文学にみられる文学と文化のグローバル化に関して、以下の研究成果をあげることができた。 まず、カズオ・イシグロと第二次世界大戦に関しては、ドイツのゲッテンゲン大学で開催された2015年度CISLE国際学会において、第二次世界大戦におけるホロコーストに焦点をあてた論文を口頭発表し、発展させた論文"Lost and Found: A Voice Retrieved from the Holocaust in Kazuo Ishiguro's The Remains of the Day”は 『同志社大学英語英文学研究』95号(2015)に掲載された。また、イシグロの作品と第二次世界大戦中のジャーナリズムに関する論文“A Voice Retrieved from the Holocaust in New Journalism in Kazuo Ishiguro’s The Remains of the Day”は、シンガポールで開催されたThe ICELLL 2015で口頭発表してProceedingsに掲載された。また、台湾・中国・アメリカという新たな文学地図を形成した中国系グローバル作家に関する論文を台湾台中市で開催された2016 3rd ICLLAで口頭発表し、欧米だけでなくアジア化文化圏の若い研究者と交流することができ、その時の論文は学会誌に掲載される予定である。第二次世界大戦、9/11、 3/11との関連性に関しては、昨年口頭発表した“The Waves of Words: Literature of 3/11 in and around Ruth Ozeki’s A Tale for the Time Being”はProcedia: Social and Behavioral Sciences に掲載された。さらに破壊と遺構のコンテクストに関する論文 “Memorial Sites, Globalized Networks, and Literature of Catastrophe ‘Before and After’ 9/11”をカナダのトロントで開催されたアメリカ学会大会において発表した。2016年ICELLL において、〝Encoding the Design of the Memorial Park and the Family Network as the Icon of 9/11 in Amy Waldman’s The Submission”をポスター発表し、Proceedingsに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究目的の達成度は、広義のグローバリズムと英語圏・英語圏外文学の両方に関して、国際学会において発表した。特に、アメリカ最大の学会の一つであるアメリカ学会から東ヨーロッパ、アフリカ、南アメリカ、オセアニア、アジアの研究者が参加するオーストリアを拠点とするCISLE国際学会,アジア、オセアニア、アメリカ、ヨーロッパの研究者が集ったシンガポールで開催されたICELLL学会、さらには香港を拠点とし台湾の台中市で開催されたICLLA学会において、学際的な研究を積極的に行う著名な学者や若い研究者、大学院生と共に分科会に参加し、論文を発表するだけでなく、意見交換を行うことができた。昨年度より蓄積してきたリサーチを基に、学会参加により日本の中国系作家とアメリカ中国系作家の比較という新たな視点での考察を行う機会を得たことにより、国内においても福岡と神戸においてリサーチを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、すでに6月23日から25日にかけて北米以外での初めての開催となるドイツでの国際MLA学会シンポジウムにおいて、変貌を遂げる現代ヨーロッパをめぐる文学の行方に関する論文を発表することが決定している。MLAはアメリカに拠点を置く英語圏文学、文化、言語、教育に関しては最大で最も権威ある学会である。特にシリアからの難民や中東・アジアからの難民により地図が塗り替えれていつ欧州において意義ある学会と考える。さらに、7月25日、26日においてパリで開催されるICELL学会では、現代イギリス作家であるカズオ・イシグロの最新作『忘れられた巨人』とグローバリズに関する論文を発表予定である。また、9月8日と9日にシンガポールで開催されるICELLLにおいては、イギリス出身のアイルランド系・トルコ系アメリカ作家ジョセフ・オニールのNetherlandとThe Dogにおけるグローバリズムと多文化的政治学に関する論文を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
最後の国際学会出席費用がドルだてであったため、その誤差が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度のリサーチ費用の一部とする。
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Research Products
(14 results)