2015 Fiscal Year Research-status Report
ニュージーランド文学における共生を鍵とした文化的対話の弁証法
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26370308
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
澤田 真一 弘前大学, 人文学部, 准教授 (30250624)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニュージーランド文学 / マオリ文学 / ポストコロニアル文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年11月3日に早稲田大学小野記念講堂において行われた第11回早稲田大学研究機構研究成果報告会「独立自尊の国ニュージーランドに学ぶ」では、総合司会を務めるなど、日本におけるニュージーランド研究の普及、発展に中心的にかかわった。 また、2015年11月7日に弘前大学で開催されたオーストラリア・ニュージーランド文学会2015年秋季大会では、大会実行委員会委員長として企画・大会運営に携わるととともに、シンポジウム「ポストコロニアル文学の社会的機能」のパネリストとして、「生き延びるための思想と文学」と題した研究発表を行った。当発表は、科研のこれまでの研究成果の中間発表にあたる。ニュージーランドのポストコロニアル文学は、世界は多様であるという現実を正面から受け止め、その多様な世界を肯定する思想を紡ぎだす。その過程をマオリの口承の伝統・儀式に起源を認め、それらがニュージーランドの小説家たち(ウィティ・イヒマエラ、アラン・ダフ、ケリ・ヒューム、ロイド・ジョーンズ)がいかに発展させてきたかについて明らかにした。発表の要旨は学会誌である『南半球評論』第31巻に掲載され、さらに深化した研究論文は2016年に出版予定の『オーストラリア・ニュージーランド文学論集』(仮題)に掲載されることになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去2年間の研究の成果は、今年度の学会での中間発表を経て、次年度にさらに深化したものとして『オーストラリア・ニュージーランド文学論集』(仮題)に掲載される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度は、研究活動の総括として緩急論文を発表する予定である。 年度内にもう1度ニュージーランドを訪れ、マオリ人作家の第一人者であるウイ過去ティ・イヒマエラにインタビューを試み、ニュージーランドにおけるマオリ、パケハ(ヨーロッパ系白人)、アジア移民らが織りなす多文化共生についての意見を聞き、過去2年間の研究の蓄積のうえに、新たな知見を加えた研究論文を発表したい。
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Causes of Carryover |
次年度に再度ニュージーランドに赴き、マオリ人作家ウィティ・イヒマエラへのインタビューおよび取材をするために、繰越金を充てるために、書籍・資料の収集のための経費をおさえたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、夏季休暇中にニュージーランドに赴き、マオリ人作家ウィティ・イヒマエラへのインタビューをするための旅費・滞在費の一部に充てる予定である。
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