2016 Fiscal Year Annual Research Report
Dialectic Dialogue in New Zealand Literature Focusing on Co-existence
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26370308
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
澤田 真一 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (30250624)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニュージーランド文学 / マオリ文学 / ポストコロニアル文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年11月3日に弘前大学創立50周年記念会館岩木ホールにおいて開催された、弘前大学人文社会科学部国際公開講座2016「日本を知り、世界を知る」では、講演者の一人として「ニュージーランドから学ぶ共生の作法」と題し、マオリ文学作品に材を取りながら、いかにマオリ文化が西洋文化に問いを投げかけ、二つの文化が弁証法的に発展を遂げていくことにより多文化共生の文化・伝統が醸成されていったのかについての講演を行った。 また、3年間にわたる研究の成果として執筆した論文「ウィティ・イヒマエラと命の文学」を2017年3月31日に彩流社より出版された初のオセアニア文学を扱った論集である『オーストラリア・ニュージーランド文学論集』(三神和子編)に発表した。本論文は、キャサリン・マンスフィールドに起源をもつ「命を与える文学」の伝統を、先住民族作家であるウィティ・イヒマエラがいかに継承し、短編集『ディア・ミス・マンスフィールド』、『家の柱に訊ねよ』、小説『人間の縄』、『クジラの島の少女』、劇作品『彼方を歩む女』において洗練されていったのかを作品を解釈することで明らかにした。マオリ文化と西洋キリスト教文化が共生を鍵として互いに影響し合い、ニュージーランド独自の共生社会を構築していった過程を、文学の立場から考察した。
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