2015 Fiscal Year Research-status Report
エズラ・パウンドの「高利」批判とアメリカ建国の父祖―儒教、ファシズムとの「符合」
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26370314
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長畑 明利 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (90208041)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | パウンド / ジェファソン / アダムズ / 符号 / ファシズム / 儒教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカのモダニスト詩人 Ezra Pound の詩と詩論に見られる「アメリカ建国の父祖」、特に、Thomas Jefferson と John Adams の評価の意味を、彼の「高利」批判との関係から明らかにし、また、彼らを儒教およびファシズムに結びつけようとするパウンドの試みを「符号」の観点から考察することにより、彼の創作原理の変化を示すことを目的とする。 平成27年度には、平成26年度に続き、パウンドのジェファソンについての言及に関する文献調査を Eleven New Cantos、Jefferson and/or Mussolini 及び The Writings of Thomas Jefferson その他を対象に行った。ジェファソンについての調査および調査結果の整理はいまだ完結していないが、平行して、アダムズをテーマとする Adams Cantos およびその原テクストである The Life and Works of John Adams の文献調査にも着手した。また、これらの作業に加え、パウンドのジェファソン、アダムズ評価と彼の儒教への傾倒との関係について検討するための準備として、Chinese History Cantos の一部についてもあらためて検討を行った。 平成27年7月には、イタリアのブルネンブルクで開催された国際エズラ・パウンド学会に参加し、「中国詩篇」に関する口頭発表を行った。また、国内のパウンド研究者が参加するエズラ・パウンド協会発行の学術誌 Ezra Pound Review に「中国詩篇」の1篇の訳・注が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査と調査結果の整理に当初の計画以上の時間がかかっているが、『詩篇』に関する国際学会での発表、訳・注の学会誌への掲載ができているから。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、パウンドのジェファソンおよびアダムズに関する資料調査と調査結果の整理を進め、研究成果の一部を学会発表する計画である。
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Causes of Carryover |
平成27年度に、名古屋大学未購入のアメリカ史関係図書およびモダニズム関係図書の購入を計画していたが、その一部の購入を年度内に行えなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に購入できなかったアメリカ史関係図書およびモダニズム関係図書を平成28年度に購入する計画である。
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