2014 Fiscal Year Research-status Report
詩人アーネスト・ヘミングウェイの発見:「うた」と日本的感性
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26370315
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
真鍋 晶子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (80283547)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アーネスト・ヘミングウェイ / エズラ・パウンド / W.B.イェイツ / モダニズム / 国際研究者交流 / アメリカ:アイルランド:スペイン / 詩 / 能狂言 |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀アメリカを代表する小説家ヘミングウェイの未評価の詩の価値を世界に周知し、また、その文学上の師である詩人エズラ・パウンドを通じて伝えられた日本の原理を追求することを目的とする本研究だが、研究初年度として基礎資料蒐集と整備、学会・研究会発表(国内2回、海外2回)、論文投稿2編、著書(2名共著)出版を行い、研究を細分化した課題、視点でまとめ、内外の研究者に周知、問いかけた。 具体的には、イタリア、ヴェネツィアで開催された国際ヘミングウェイ協会の大会で、「日本の美学とヘミングウェイ」のパネルにおいて、ヘミングウェイと日本的感性のなかでも狂言に絞って発表した。本発表に興味をもったスペイン、サラゴサ大学教授で「日本と個人」をテーマとした学会の企画者に招聘され、「能狂言とW.B イェイツ」について発表。準備のために本研究の根本になる能狂言について能楽師狂言師の聞き取りを行い、また、ヘミングウェイと日本の接点の原点になるアーネスト・フェノロサについて海外に発信した。 学会のためのヴェネツィア訪問時に、ヘミングウェイとパウンド縁の地に資料蒐集に赴き、帰国後『ヘミングウェイとパウンドのヴェネツィア』を共著者1名と出版。スペインでも、『ヘミングウェイ全詩集』のスペインに関する資料蒐集を行った。 国内発表は、世界文学の視点でイェイツの一つの劇と劇中歌の詩と狂言に関する発表したが、ヘミングウェイの詩における狂言的要素に結びつくものとなった。今一つの発表は、モダニストとしてのパウンドを扱い、ヘミングウェイに詩学と日本を示したパウンドの核心を確認した。 入稿論文は、2015年度出版予定で、ヘミングウェイの詩とW.B. イェイツ、パウンドと日本、アイルランドに関わるもので、本研究の成果の一端を形にし、世に問うものとなった。 以上の研究の全てで、ヘミングウェイの詩の音楽性(「うた」)の視点を貫いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時に予定した26年度研究実施計画に挙げた、1.国際学会発表(国際ヘミングウェイ協会)、2.国内外の資料蒐集、3.『ヘミングウェイ全詩集』執筆準備、4. 論文刊行、5.図書・研究環境整備、6.能楽師聞き取り及び観劇、7.国内学会研究会講演会参加、企画は全てこなしただけでなく、以下のように、予定以上に、進展した。1.国際学会発表に関しては、国際ヘミングウェイ協会での発表のみならず、海外の別の学会から招聘を受け、学会発表を行った。2.資料蒐集のみならず、それに基づき著書を出版、3.『全詩集』執筆準備は予定通り進めている、4.論文は年度内出版は間に合わなかったが、入稿2本を済ませた、5.図書は購入、他施設から貸借などにより、着実に整備、機器に関しては、予定していた新製品が出なかったこともあり来年度に回したものもある、6.能楽師(狂言師を含む)に直接聞き取りを行い、資料提供を受けたり、意見交換を行ったりし、また、実際の観劇にも何度も赴いた、7. 国内の学会・研究会は、参加・企画のみを予定していたが、2回口頭発表、講演の機会をもった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究が予定以上に進んだので、以後の2年も基本的には予定通り進める。 1. 国内外の学会等で発表する。27年度は、7月イタリアで行われる国際エズラ・パウンド協会で、パウンドとヘミングウェイについて発表。10月アイルランドで実施される第一回国際W.B.イェイツ協会国際大会(イェイツ生誕150周年記念)における「イェイツと日本」に関するパネルで、イェイツと狂言について発表。10月日本アイルランド協会公開講座でイェイツと日本について講演、12月日本アイルランド協会大会にて「イェイツと狂言」について発表、日本ヘミングウェイ協会大会において「ヘミングウェイの文体」に関するパネルで「ヘミングウェイの詩」について発表。2. イタリアでの学会発表前後に、ヘミングウェイとパウンドのイタリアに関する資料蒐集、アイルランドでの学会前後に、ヘミングウェイとチンク・ドーマン=スミスについての資料蒐集を行う。3. 2の両者とも、結果を著書、論文の形で執筆を始める。4.『ヘミングウェイ全詩集』の執筆継続と完成。5. 能楽師(狂言師)の聞き取り継続とワークショップ、実際の公演を体験。 最終年度は、2年間の実績に基づき、『詩集』刊行、学会発表、講演会・シンポジウムなどの形で、成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
予定していたPCの販売期日が遅れたため、次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定のPC購入に補填する。
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Research Products
(8 results)