2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370318
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大池 真知子 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (90313395)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文学 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
ウガンダでメモリーブック(HIV陽性の親が子どもに宛てて家族や自分について書く小冊子)の現地調査を行った。地元活動団体「コミュニティーヴィジョン」の協力を得て、トロロ県の5つのコミュニティーを訪問し、新たに15冊程度のメモリーブックを収集した。書き手およびワークショップのファシリテーターのインタビューも行った。その結果明らかになったのは以下の点である。 (1)メモリーブックのワークショップに参加した人が、参加していない人に書き方を教える場合がある。 (2)メモリーブックの項目は非常に多い。そのため、ワークショップの後にフォローアップがないと、書くのが難しい。フォローアップとは、実施したNGOの職員が訪問したり、HIVの活動グループ内でワークショップ参加者が一緒に書く機会を持ったりといったことである。 (3)ARV(抗レトロウイルス薬)が入手可能となり、HIVに感染していても長期生存が可能となった今、自分のやがて来る死を意識して書くメモリーブックはいかにあるべきか。それについては、二つの意見があった。一つは、メモリーブックを感染にかかわらず、一般の人に広めていくという考えである。その場合、ワークショップでは氏族の歴史や知恵を次世代に伝えるという側面が強調されることになる。男性の参加を促すのにも有効だと思われる。もう一つは、メモリーブックはHIV陽性者に絞るべきだという考えである。まだHIV陽性者には支援が必要であり、HIV陽性者をターゲットにした方が、ワークショップのフォーカスが絞れるからという理由である。 個人的には、識字教育の一環としてメモリーブックを使えるのではないかと考える。その際、現在のメモリーブックは項目数が多いので、項目数を絞ることも必要かもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウガンダ以外のメモリーブックの活動については、十分な調査ができていない。しかし、ウガンダでは、現地調査により、今後のメモリーブックの活動の在り方などについて、多くの示唆を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨今の東アフリカ、そしてウガンダは治安が悪化しており、十分な現地調査ができない可能性がある。調査項目を絞り込んで、短期間の滞在で目的を達成するよう努力したい。 現在、メモリーブックを一冊ごとに丹念に読んでいる。それによって、インタビュー内容も絞り込めるのではないか。 将来的には、メモリーブックをわかりやすく紹介するような著作も出版したいと考えている。
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