2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of National Literature Consciousness of New England Transcendentalists
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26370319
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松島 欣哉 香川大学, 教育学部, 教授 (20165814)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超絶主義者 / 国民文学意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究課題の3年目で、エマソンやフラーたち以外の超絶主義者たちを含め、彼らの国民文学意識について研究を進めた。 2016年6月12日(土)に開催された、中・四国アメリカ文学会支部大会のシンポジウム「アメリカ文学の独立」では、コーディネーターを務め、自らは「超絶主義者たちと国民文学」とのタイトルで発題をおこなった。この発題の要旨は、2017年6月に発行される『中・四国アメリカ文学研究』第53号に掲載される予定である。 また、上記の発題に修正を加えた論考を『香川大学教育学部研究報告 第 I 部』第147号(2017年3月31日発行)に、「アメリカ国民文学意識の発展ーノア・ウェブスターからマーガレット・フラーまで」と題する論文に纏めた。本論では、まず1830年代までの状況として、独立直後のノア・ウェブスター、フィシャー・エイムズ、ウォールター・チャニングの発言とイギリス人のシドニー・スミスのアメリカの文化の遅れ対する難詰をまとめ、次に、ウイリアム・エラリー・チャニングの貴族主義的国民文学観、『ダイアル』の創刊の辞に明示されたラルフ・ウオルドー・エマソンの民主主義的国民文学観、オレスティーズ・A・ブラウンソンのエマソンとは対照的な国民精神の現れとしての国民文学観、最後に、マーガレット・フラーのイギリス文学を模範とするアメリカ詩人に対する反発に見られる、新たなアメリカ文学を求める意識について論じた。 アメリカの国民文学の確立を論じる人々が、文人に限らず、医者・政治家・牧師といった、幅広い職種の人々であることを指摘し、独自の文学を確立するここと国家意識とが分ちがたく結びついていることを論証した。
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