2017 Fiscal Year Research-status Report
アジア系アメリカ人作家の戦争表象研究におけるトラウマ理論の有効性について
Project/Area Number |
26370320
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
加瀬 保子 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (70724722)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 論文執筆 / 学会発表 / 知識習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
年度始めの4月13日から15日にかけてアメリカ、オレゴン州ポートランドで開催されたAssociation for Asian American Studiesの年次大会に参加し、"Death, Bodies and Medicine"というセッションにおいて論文発表を行った。論文のタイトルは、"Politics of Care and Racialized Medicine in Chang-rae Lee's _A Gesture Life_"である。前年度同作品について別の学会発表用の論文を執筆したが、これと今回の発表論文と合わせて出版できる水準の論文に仕上げたい。 今年度は、医学知識を人文分野のトラウマ研究に取り入れるために、脳や記憶についての知識習得に昨年以上に時間を費やした。脳の扁桃体の研究を行っているニューヨーク大学のJoseph LeDouxの著作を中心に文献を読み進めた。また、19世紀からの現代までの医学分野のトラウマ研究の変遷をたどることも行った。医学関係の文献を読むことで得た知識は、"The Other of Western Modernity: Diaspora, Trauma, and the Impossible Autobiography in Monique Truong’s _The Book of Salt_"という論文(2018年中にCambridge Scholars Publishingより出版予定)の執筆と2018年3月29日からUCLAで行われたAmerican Comparative Literature Associationの年次大会で発表した"Neurobiology and Trauma Theory"という論文を執筆するのに大変役にたった。(発表日は次年度4月1日。)この年次大会では、人文系のトラウマセオリーの新しい動向を反映させるような研究発表が目立った。同じ分野に興味を持つ研究者と意見交換や情報交換でき、大変有意義であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年度の手首の手術・リハビリのためしばらく研究ができなかったことが、遅れの原因になっている。また、脳や記憶についての医学知識の習得に多くの時間を費やすことが必要となったためやや遅れる結果となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
脳についての知識もだいぶついてきたので、今後は、医学系の文献をさらに読み進めるとともに、人文系のトラウマ理論とどのように医学系の知識をブリッジしていくか考えていきたいと思う。特に、Catherine Malabou, Adrian Johnstonなどの著作からNeuroscience分野と人文分野の繋がりを作り上げていく方法を学びたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
当初、夏季に資料収集のために海外出張を予定していたが、その期間を取得済みの医学関係の文献を精読することに費やすことにしたため。また、研究の進路が少々遅れており、今年度で完成することが難しくなったので、次年度末まで研究期間の延長することにした。延長期間の研究を充実させるため、予算を残すことにした。最終年度の出張、英文校閲などに使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)