2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Textual Study of Reynard the Fox in Early English Printed Books
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26370323
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
向井 剛 (向井毅) 福岡女子大学, 文学研究科, 教授 (40136627)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 狐物語 / 書誌学 / 書物史 / 初期印刷本 / キャクストン / ド・ウォード / ピンソン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中世後期から19世紀にかけて広くヨーロッパに流布し、様々なジャンルで受容された<狐物語群>のうち、1.中世オランダ語から翻訳・受容された英語『狐物語』(Reynard the Fox)の本文生成と派生のプロセスを解明し、ステマを確定すること、2.各印刷・編集者による本文と書物のつくりを社会・文化的文脈に位置づけ、受容史の観点から解釈することである。 本年度は、アルデ(Allde)第2版以降の諸版の調査を、オックスフォードとケンブリッジの各大学及びコレッジの付属図書館にて実地調査を行った。PDFで事前に行っていた比較の結果を確認するとともに、PDFでは観察できない下記の点について調査を行い、記述を試みた。(1)アルデ第2版が第1部となり、17世紀には新たに狐ライナールの続編(第2部と第3部)が執筆されるが、これらの物語がどのように綴じ合わされ、現存コピーとして残っているのか、実態調査を行う。(2)木版画の意匠について、実物から観察を行う。(3)現存コピーの欄外に記された書き込みを記述し、読者反応を読み解く手がかりを得る。 また、17世紀諸版に加えて、再度人気を博し、出版が繰り返された19世紀の主要な版についても、テクストの編集ぶりや書物のつくりから、各版の出版背景、意図された読者層について考察を加えた。 H28年度は研究の最終年度として、キャクストンに始まりピンソンとアルデを経て、続編が作成されるにいたる出版史を総合的に記述するとともに、上記の調査研究を踏まえて、狐物語の続編の制作・販売戦略について解明を試みた。
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