2014 Fiscal Year Research-status Report
初期アメリカ文学におけるDutch New York研究
Project/Area Number |
26370325
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
若林 麻希子 青山学院大学, 文学部, 教授 (50323738)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 初期アメリカ文学 / ニューヨーク / Catharine Maria Sedgwick |
Outline of Annual Research Achievements |
"Dutch New York"の伝統である「民族的多様性」をパラダイムとする「ニューヨーク文学」のジャンル性を確立する為の調査・研究を行った。当初計画では、ジェイムズ・フェニモア・クーパーの文学に焦点を当て、学会発表や論文執筆を行う予定であったが、津田塾大学アメリカ文学女性像研究会より講演の依頼があったことを受けて、急きょ、キャサリン・マリア・セジウィックによる歴史小説の中でも、ニューヨークを舞台に展開するThe LinwoodsおよびClarenceの2作品を主な対象として、それらのニューヨーク文学としての在り方を検証する作業を行い、その成果として、2014年12月7日、同研究会において「歴史小説とニューヨーク―Catharine Maria Sedgwick, The Linwoodsを中心に」と題する講演を行った。これまでニューヨーク文学のジャンル的特徴として、「民族多様性」というキーワードを掲げてきたが、セジウィック文学を検証することによって、ニューヨーク文学が、ニューイングランド文化の衰退への危機感に裏打ちされた文化的覇権の問題を内包していたことが明らかになった。 この成果を受けて、ニューヨーク文学の流れが、ニューイングランドを起源とした伝統的なアメリカ文学の流れと接合する契機として、改めてヤング・アメリカ運動の重要性をつきつけられることになった。そこで2015年3月12日~20日の日程で、New York Historical SocietyおよびNew York Public Libraryにおいて、当初から予定していたDutch New York関係の資料に加え、ヤング・アメリカ運動に関する資料の調査・収集を行うことが出来た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査・研究の対象が、当初計画から変更になったとはいえ、キャサリン・マリア・セジウィックを先行して取り上げたことによって、ニューヨーク文学の歴史的展開に関する見取り図がより明確になったことは評価に値する。Dutch New York時代の文学の発掘にはまだまだ調査・研究が必要であるが、ニューヨークを起源に展開する文学の流れが南北戦争前のヤング・アメリカ運動を背景に何らかの変貌を遂げることが予測され、今後の調査・研究の効率化が期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ニューヨーク文学のジャンル性を確立するための調査・研究は継続して行う。特にジェイムズ・フェニモア・クーパーに関する調査・研究を完了し、学会発表もしくは学術論文の形で早いうちに発表するように努める。 また、Dutch New Yorkに関する文学の発掘についても、当初の予想を上回り、イギリス文学を含む領域にまで広がりを見せつつあるため、的を絞りながら積極的に取り組む必要がある。
|
Causes of Carryover |
当初は夏期休業期間を利用する予定だったアメリカでの資料調査・収集が、校務のため叶わず、春期休業期間に実施したことから、旅費が抑えられたこと、および、旅程が短縮になったことが主な原因である。このことは、更に、Dutch New Yorkに関する文学の発掘調査に遅延をきたすことにもつながり、計画通りの資料収集が行われず、物品費にも残高が生じることとなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、アメリカにおける資料調査・収集の旅費に充当する予定である。
|
Research Products
(2 results)