2015 Fiscal Year Research-status Report
初期アメリカ文学におけるDutch New York研究
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26370325
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
若林 麻希子 青山学院大学, 文学部, 教授 (50323738)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / 歴史小説 / 建国期アメリカ / New York / Dutch New York / Catharine Maria Sedgwick / James Fenimore Cooper / Washignton Irving |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は本科研費研究に関連する講演を2件行った。1件目は「1830年代アメリカと家事労働--Catharine Maria Sedgwickを中心に」(2015年7月3日成蹊大学アジア太平洋研究センター共同研究プロジェクト:合衆国における『労働』の文化表象)というタイトルのもと、Catharine Maria Sedgiwickによる家庭小説三部作(Home[1835), The Poor Rich Man and the Rich Poor Man[1836], Live and Let Live[1837])を取り上げ、Sedgwickが、経済格差と貧困層が拡大するNew Yorkを背景にして、家事労働のアメリカ化、言い換えれば、家事労働における「アメリカらしさ」を追求する文化的仕事を担っていたことを例証した。2件目は「Dutch New York--知られざるアメリカの起源」(2015年9月23日青山学院大学同窓祭公開講座)というタイトルで、Washington Irvingによる「リップ・ヴァン・ウィンクル」を題材にして、一般的には、独立革命の寓話として知られる本物語は、実は、アメリカのオランダ起源を回復する歴史改編小説として読むことができることを実践的に講義した。 研究・調査の面では、17世紀初期New Netherland文学の発掘、そして、Catharine Maria Sedgwick, James Fenimore Cooper,およびWashington Irvingといった主要作家の研究を継続しつつ、前年度から新たな重要性を帯びてきたYoung America Movementについての資料収集・調査を行うため、10月9日には同志社大学のアメリカ研究所および大学図書館を訪問した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅れの主たる原因は成果発表に関わる。 本研究は、これまでの調査研究を通して、大きく3つの時代区分から構成される可能性が濃厚になってきている。①Dutch New York文学に関する考察、②独立革命から建国期アメリカ文学におけるトポスとしてのNew Yorkの考察、③Young America MovementにおけるNew Yorkの役割、である。③については昨年度以降、重要性が明らかになってきたテーマであるので本年度を通じて力点を置く予定であるが、その他の①と②については論文になる題材があるにもかかわらず、論文作成が滞っているのが現状である。 28年度は大学から特別研究期間の適用を受けている。この機会を最大限活用して論文作成に集中することとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は本科研費による研究の最終年度に当たるため、先にも述べたように成果発表に重点を置くこととする。 その一方で、昨年度から重要性が明らかになってきたYoung America Movementに関する資料収集・調査を行うため、2度の海外出張を行う予定である。1件目は5月にNew Yorkを訪れ、New York Historical Society, Fenimore Art Meseum Research Library,New York State Library等で調査を行う。また、7月にはBoston, Berkshireを訪れ、New EnglandからNew Yorkへの文化的覇権の意向の経緯に関する調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主たる理由は、当初予定していたアメリカでの現地調査を実施することが叶わず、旅費に残額が生じたためである。アメリカでの現地調査を実施できなかったのは、研究過程でYoung America Movementの本研究における重要性が明らかになってきたことにより、改めて資料収集・調査の対象について吟味する必要が生じ、現地調査計画が滞ったことに依る。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度にはYoung America Movementに関する調査を含むアメリカでの現地調査を2回予定している。次年度使用予定額はその旅費に充てる計画である。
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Research Products
(2 results)