2017 Fiscal Year Annual Research Report
"Dutch New York" in Early American Literature
Project/Area Number |
26370325
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
若林 麻希子 青山学院大学, 文学部, 教授 (50323738)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ニューヨーク文学 / 初期アメリカ文学 / 建国期アメリカ小説 / Catharine Maria Sedgwick / アメリカ国家主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度には、本科学研究費による課題研究の最終年度にあたり、研究論文1本および国際学会での招待発表を通じて、成果発表を行うことが出来た。「一八三〇年代アメリカと家事労働――キャサリン・マリア・セジウィックを中心に」が、研究論文集『アメリカン・レイバー:合衆国における労働の文化表象』に所収され、2017年10月に出版された。市場革命を背景に性的役割分担が明確化し、女性の従属的な家庭的役割が強調される社会変革の流れの中で、キャサリン・マリア・セジウィックは、「家庭三部作」と呼ばれる家庭小説群において、家事労働を、女性たちが、「有用性」というアイデアのもとに自己実現を果たし、市場経済社会と有機的につながるための媒体として把握することに成功する。本論では、セジウィックのこのような家事の概念化を支えたトポスとして、1830年代ニューヨークを取り上げた。 また、"Geopolitics of Catharine Maria Sedgwick's America in The Linwoods"と題する研究発表(招待)を、2017年9月22日、American Studies Association of Korea(ASAK)の第52回国際会議で行った。キャサリン・マリア・セジウィックによるアメリカ独立戦争を題材とした歴史小説『リンウッド家』が、ニューヨーク的価値観とニューイングランド的価値観の間で揺らぎ葛藤するテクストであることに着目することによって、アメリカにおける国民文学創生の営みが、実は、ニューヨークとニューイングランドの間の文化的覇権をめぐる地方主義的闘争であったことを例証した。 これらの研究によって、ニューヨーク文学の伝統が、1830年代以降に、ニューイングランド文学との何らかの緊張関係を結んでゆく流れを捉えることが出来たと考えている。
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Research Products
(2 results)