2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370328
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大串 尚代 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (70327683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下河辺 美知子 成蹊大学, 文学部, 教授 (20171001)
新田 啓子 立教大学, 文学部, 教授 (40323737)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 西部 / 占領期日本 / 中米植民計画 / 人種隔離 / 民主化政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、研究代表者および研究分担者がそれぞれ個人の領域において研究に取り組み、最終年度である28年度のプロジェクトの総括に進む準備を行った。 研究代表者である大串尚代は、平成27年度には主に19世紀におけるアメリカ西部の発展と移住のメタファーが、第二次世界大戦後の日本の民主化政策にどのように用いられたのかについての考察をすすめた。占領下の日本における海外文化の翻訳出版の歴史をたどり、女性作家による西部表象をLaura Ingalls Wilderの作品群において分析し、最終的には日本の少女文化へとつながる文化現象の「移動」を確認した。 新田啓子は、平成27年度に権力による強制や政治的操作を含んだマイノリティの移動を近代小説がどのように捉え、描いてきたかという問題を考察した。特に、Harriet Beecher Stoweの反奴隷制小説の意味を、解放奴隷を利用した中米植民計画に関する史料との関係のうちに分析し、南北戦争の戦後処理の一環として構想された人種隔離の問題性が、どのように認識されていたかを明らかにした。 下河辺美知子は、半球思考という枠組みの中で、海上移動によるモビリティの研究を分担することになっている。二年目にあたる平成27年度は、前年テーマ―海上のモビリティについての精神的・文化的意味―をさらに深め、半球分割という視点から19世紀海洋小説を分析し、21世紀のグローバリゼーションの歴史的意味を考察した。また、2015年度後半は、モンロー・ドクトリンについての研究プロジェクトの成果本出版の準備に費やし、2016年6月には『モンロー・ドクトリンの半球分割:トランスナショナル時代の地球的想像力』(仮)として出版予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者および研究分担者が、それぞれ調査研究を進め、おおむね順調な進捗を維持している。研究の進捗状況に関しては、定期的にミーティングを持ち、報告会を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度である平成28年度には、これまでの研究の集大成として、シンポジウムなどを開催する予定である。具体的には、アメリカ・コーネル大学英文科教授であるシャーリー・サミュエルズ氏を招聘し、主に19世紀アメリカ文学の視点より意見交換を行い、本研究課題についてのさらなる考察を深める。また年度末には、本研究のテーマであるモビリティを中心に据えたシンポジウムの開催を予定している。
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Causes of Carryover |
研究代表者である大串尚代分について、次年度使用額が生じている。これは購入を希望した書籍が年度内の納品ができなかったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
希望図書の購入を28年度に行う。
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Research Products
(7 results)