2017 Fiscal Year Annual Research Report
Representation of Israel and a Rhetoric of Peace in Jewish American Literature
Project/Area Number |
26370336
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Research Institution | Musashino Art University |
Principal Investigator |
相原 優子 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (30409396)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / ユダヤ系アメリカ人作家 / ソール・ベロー / シンシア・オジック / グレース・ペイリー |
Outline of Annual Research Achievements |
「ユダヤ系アメリカ文学に於けるイスラエル表象と平和のレトリック」という課題を三人のユダヤ系アメリカ人作家Saul Bellow, Cynthia OzickそしてGrace Paleyに焦点を当てて考察してきた。この研究は、彼らの作品研究を通して、ユダヤ民族の一員でありながらも、イスラエルから遠く離れたアメリカからイスラエル問題を眺め、文学の中でこの問題と如何に格闘してきたか、その軌跡を確認すること、そしてユダヤ系アメリカ人作家だからこそ編み出される平和の提言を読み取ることを目標としてきた。最終年度はその前年度に引き続き主にOzickの作品に於けるイスラエル表象を論じる論文執筆の為の準備に時間をあてた。Ozickがホロコーストを文学作品に描く際に採用した「描かずして描く手法」を分析するために、彼女の長編小説The Puttermesser Papersの中で最もユダヤ色の薄い章に焦点をあてることに決め、その為にその章でOzickが言及するイギリス人作家George Eliotの作品も研究対象に含めることとなった。George Eliotの作品に目を配りながら、Ozick作品やエッセイも含めテクストの分析を行った。もう一人の研究対象であるPaleyについては、短編小説研究という方法で、Bellowの短編小説と比較することによってイスラエルを巡る表象と二人の作家それぞれの平和のレトリックを論じたいと考えており、その準備も開始した。現在、エルサレムを巡るイスラエルとアメリカの複雑な関係は、世界政治の中でも注目されている。このテーマの抱える現代性を改めて思うと共に政治ではなく、文学の、それもユダヤ系アメリカ文学の果たし得る役割について考察する意義を改めて確信した。
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