2018 Fiscal Year Annual Research Report
From Imagined Communities to "Placeable Bonding": Describing the 1980s Culture through Re-reading Literary Criticism
Project/Area Number |
26370347
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大貫 隆史 東北大学, 文学研究科, 准教授 (40404800)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レイモンド・ウィリアムズ / ナショナリズム / 知りうる共同体 / 既知の共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベネディクト・アンダーソンやアーネスト・ゲルナー、レイモンド・ウィリアムズらのナショナリズム理論の精緻さをそれぞれ比較するというよりも、そうした理論を書く人間たちのポジショニングの有り様を、「知りうる共同体(knowable community)」「既知の共同体(known community)」といった、レイモンド・ウィリアムズが提示するキーフレーズを活用しながら考察した。ナショナリズム論を純粋な理論として読む場合、私たちが得ようとしてる知識は、それらの理論書が分析対象としている共同体にまつわる、未知のこれから知りうる部分(knowableな部分)だと考えている。しかし、(直接的にはもちろんナショナリズム論を対象としていない)『田舎と都会』のレイモンド・ウィリアムズの言葉遣いが示唆するのは、「knowableな部分」だけではなく、「既知の部分(knownな部分)」についても視野に入れないと、コミュニティ論としては不完全なものになってしまう、ということである。例えば、ベネディクト・アンダーソンであれば、ネイションが「想像された」ものである、というのは、確かに未知の「knowableな部分」である。この部分にばかり、わたしたちは気をとられてしまうが、それだけではなく、B・アンダーソンがおそらくとらわれていた「既知の部分」についても、例えば、コミュニティのふつうの人々が主体性を失ったエージェントに過ぎない、という既知の知識の部分についても、視野を広げないと、コミュニティの全貌がとらえがたくなってしまう。あわせて、こうした考察を進めるプロセスのなかの成果として、レイモンド・ウィリアムズの小説『辺境』における「知りうる共同体」と「変わり者(stranger)」との関係を分析した論文を公表した。
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Research Products
(2 results)